ホーム 60日間のラテンな旅行体験記 インデックスドミニカ共和国

ドミニカ共和国の旅を終えて


ドミニカ人は「HELLO!」とか「BYE!」なんていう挨拶もよく使うなど、アメリカの影響が強いように感じました。アメリカ系のファースト・フードやファミリー・レストランはどんどん増えているようです。なぜかマクドナルドとケンタッキーはまだ来ていないのですが、もうすぐ来るそうです。「マクドナルド第一号店建設予定地」と大きく書いた看板が立っている空き地も見かけました。

ドミニカ共和国のダンス音楽「メレンゲ」も、ヒップホップやラップの影響を強く受けたものがよくラジオから流れています。

テレビのコマーシャルでは、アメリカ的な広告手法の「実証広告」や「比較広告」が目立ちます。おもむろに他店と比較し、他店の固有名詞の部分に「ピーッ!」という音を入れるような、かなりストレートなタイプです。ただ、明らかに「プロ」とわかる出演者が消費者として登場したりするので、そんなところはラテンアメリカらしくて、何だかホッとしてしまいます。

キューバへのツアーをドミニカ共和国の旅行代理店でアレンジしたのですが、担当者の女性の仕事の速いこと!海外ではすべてのスピードがのんびりしていると感じることが多い日本人ですが、彼女は目が回るような速さですべての書類を作成してくれました。

この旅行代理店は宿泊していたホテルのフロントで教えてもらったのですが、キューバ・ツアーに関しては定評があると、タクシーのドライバーも言っていました。オフィス・スタッフはセキュリティを除き見渡す限りすべて女性、会社名にも女性の名前がついていました。キャリア系の女性集団、女性起業家成功事例、といったところでしょうか?

さてわたしが宿泊していたホテルのフロントの女性も「仕事は速く」をモットーとしていたようです。別のホテルの予約を彼女に頼んだのですが、旅行代理店に電話をかけ、仕事が遅いとこんなふうに言い切ってしまいます。

「そんなに時間がかかるの? 今、クライアントが目の前に座っているし、わたしはとっても忙しいのよ。急いでくれなくちゃ困るわ」

ハッキリとモノを言っても嫌みにならないのは年輪か、人柄か、ラテン気質の明るさからか、親しみやすいスペイン語という言葉のせいか、たぶんすべてでしょう。

ところでラテンアメリカの国々で、地元の人々に道を聞いたらいっしょについてきて教えてくれた、という経験をお持ちの方もいるのではないでしょうか?(ラテンアメリカに限らず、どんな国でも、日本国内でも田舎に行くとよくあることですが…)

首都サント・ドミンゴでツーリスト・インフォメーションを探していたときのこと。やっとみつけた!と思ったところは、妙に重々しく、どうやら政府観光局のようです。警備員のチェックを済ませ、総合受付の女のコに「×××を探している」と告げると、彼女のまわりでたむろってお喋りしていた男のコのひとりが、「オレについてこい」とばかりに手招きをします。

ちょっと話はそれますが、このあたりの国々には、何をしているのかよくわからない人たちがたくさんいます。受付嬢はとてもきれいな女のコだったので、ここではマドンナ的存在なのでしょう。だからまわりに男のコたちが集まる…。

自然の摂理としてはそうなりますが、彼らはこの政府観光局で働いているのでしょうか?彼らの場合、とてものんびりお喋りをしていましたが、IDをつけていたので「働いている」ということになります。

でもときどき思いがけない場所、たとえば空港などでもIDをつけずに働いている人を見かけたことがあります(ドミニカ共和国ではありませんが、ラテンアメリカの国です)。

そういえばたむろっていた男のコたちのなかには、ひとりくらいIDをつけてない人がいたかも…。でもラテンアメリカ人は、ともだちと友情をとても大事にするので、「フリオのともだちだよ」といえば簡単に入れてしまったりするのかもしれません。

さて話は戻って、ともだちと友情を大切にするラテンアメリカ人のおにいさんは、「まっすぐ行って右!」なんて冷たいことは言わずに、わたしを奥の部屋に案内してくれました。

そこは完全にオフィスでした。ある立派な紳士の大きな机の前に座るように言われ、彼に訪問の目的を伝えます。彼は何本か電話をかけ、ある旅行代理店を紹介してくれました。

訪ねてきた人みんなに、あんなに丁寧に応対してくれるのでしょうか?

ひとつ言えることは、このあたりの男性は女性にとても優しいということです。ひとりで海外、特にラテンアメリカの国々を旅行する醍醐味は、一時的とはいえ次々に男性たちから声をかけられ、「引く手あまた状態」になることかもしれません。

まあ、日本では経験できないことだし、ある程度の年齢を超えたら懐かしくなっちゃうことなので、今のうちは楽しんでおこうと思っています。

彼らはもともと人づきあいがとってもよくて、ラテンアメリカ人が「いっしょに行ってあげよう」と頻繁に言うのは、その表れではないかと思います。これは「アコンパニャール(同行する、エスコートする、いっしょに行く)」という一種の文化ではないでしょうか?

のんびりし過ぎているのかもしれないし、合理的でもないし、生産性も向上しにくいかもしれません。でも親切心に触れ、こころはすっかり和みました。

アメリカの影響を強く受けながらも、実はしっかりとラテンしているドミニカ共和国…。わたしはそんな印象を持ちました。

最後にもうひとつ。お隣りのハイチとの関係について。

近所づきあいがけっこうむずかしいように、近隣国同士は、嫌い嫌いも好きのうち、しかし似て非なり…、なかなか良好な関係を維持しにくいようです。

ちょうど尖閣諸島を巡る問題が新聞を賑わせていた時期だったので、よくドミニカ人に、「日本と中国は仲がよくないんだよね!」などと言われました。

そんなときは、「ドミニカ共和国とハイチだって、相当よくないんじゃないの?」と言い返してみます。すると彼らは明るく「カッカッカッ!」と笑ってゴマかすのですが…。

一般的にハイチは奴隷たちの祖国、ブードゥー教信仰に代表されるようにアフリカの文化を深く継承し続けているといわれます。

それに比べてドミニカ共和国はメレンゲ文化。「お菓子のメレンゲのようにふわっと軽い音楽」なのでこの名前がついたという説があるくらい、陽気でお気楽、比較的ライトな文化を持っています。

あるとき、ホテルのエンターテインメントで30分ほどの寸劇を上演していました。いつもはメレンゲのライブやファッション・ショーなどの軽い出し物だったのに、その夜の劇はなかなか深いアフリカ系。

悪魔にさらわれたお姫様を助けるといったストーリーを踊りで表現したものですが、音楽が印象的でした。パーカッションを強調した心臓がドクドクするようなアフリカ系のリズム。叩きつけるような、隙間のないビートが怒涛のように押し寄せて来るのです。

「演奏しているのはハイチ人だと思うわ」

いっしょに劇を見ていたフランス人の女性が言いました。メレンゲはリズムも速くて、「どこで息継ぎしているんだろう」と思うほどの早口のスペイン語で歌いまくるのですが、やはり軽くてお気楽な感じです。でもこの夜のビートはもっと原始的な力強さがあったのです。

劇が終わると手早く楽器のセッティングを変更し、今度はメレンゲのステージが始まりました。流れてきたのはメレンゲにアレンジされた、あの「マカレナ」です。

欧米の観光客のほとんどは首都サント・ドミンゴには寄らずに、リゾート地に直行しているようです。でももしドミニカ共和国に行くことがあれば、ぜひサント・ドミンゴも訪れてみてください。できればパッケージされた1日ツアーではなく、タクシーやグアグア(乗り合いのミニバス)なんかを利用しながら…。そうすればきっと、ちょっとせっかちだけど陽気なドミニカ人とたくさん出会えることでしょう。

サント・ドミンゴのおすすめ

GALARIA DE ARTE MODERNO − カリブ、中米地域の現代画が多数展示されています。色使いの鮮烈さに脱帽。

ZONA COLONIAL − 16世紀のスペインにタイムトリップしたような不思議な感じが味わえます。アフリカ色の濃いカリビアン・アートの絵も売っています。

ドミニカ共和国のアーティストたち、おすすめCD

グループ名 ORO SOLIDO タイトル INTERNACIONAL

グループ名 ROKABANDA タイトル 100% COMERCIAL 1996

グループ名 GRUPO MANDARINA タイトル DISPUESTAS A TODO 1995

ドミニカ共和国の写真

旅行した時期は1996年10月〜11月です。



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