ホームなーんちゃって香港 食は広州にあった!?

06/16/2002


食は広州にあった!?

広州は1泊だけの予定なので、到着2日目にして、すでに最終日。お昼過ぎの列車で、香港に戻る。

というわけで、短期決戦、早起きした。朝食は7時から始まるという。あんまりピッタリにレストランに行くのも、さもしい感じがするし、まだ用意できてないかもしれないし、5分だけ遅らせてみた。

ところがどっこい、そんな心配は無用だった。レストランは、すでにほぼ満席。中国人たちが、ものすごい熱気とともに、飲茶形式の朝食を食べている。人々はエネルギーを注ぎ込んで食べると同時に、食べ物からエネルギーをもらう。吸収されたエネルギーは彼らのカラダからほとばしり、レストラン中に充満する。ハイパー・ポジティブな「気」で満たされた空間で、人々はむさぼるように食べる。いや、食い尽くす。

「気」に弾け飛ばされそうになりながら、空いている席に案内された。ワゴンが回ってくるので、食べたいものを頼めばいいんだけど、一皿に同じものが3つ位乗っている。ひとりだと、量が多いんだよね・・・。それでも、回りに圧倒されながらも、5皿くらい、食べた。饅頭系とか、今、思い出しても、うっとりするほど、おいしかった。点心+お茶、最強の組みあわせ「点心」の発祥の地は、広州なんだってね。納得。

食べて、食べて、お会計は14.90人民元(250円くらい)。ちょっとだけ英語ができる若い男のコがいろいろ手助けしてくれたので、ちょっとだけチップをあげようとしたら、毅然と断られた。あら、生真面目なのね。

レストランでエネルギーをいただいた後、街へ。昨日、着いたばっかりなのに、すっかり「あたしの街」って気になってる。デジャヴ的な感覚も手伝って・・・。タクシーに乗れば効率的なのはわかってるけど、どうしても歩きたかった。何でこんなに歩くの好きなんだろう??? 

ま、ちょっと照れるような言葉だけど、皮膚感覚っていうか、直接肌がその街の空気に触れる楽しさがいいんだよね。クルマに乗っちゃうと、ガラスで隔てられて「感触」が薄まるような気がする。だからって、窓を開ければいいってもんでもなく。

というわけで、お散歩開始。まずは、六榕寺へ。昨日、広州の駅で会ったホテルの客引き系おにいさんが、「絶対、行ったほうがいいよ!」と強くお勧めしていた由緒あるお寺。創建は約1400年前だとか。537年に建造された九層の塔は、圧巻、重厚、壮大! 高さも58メートルあるそうで、のけぞってカメラ構えても、収まりきれないくらい。

せっかく来たので、塔の上に上ることにした。もちろん階段のみ。ずんずん昇ると、眼窩に広州の街が広がる。人々の生活がある。ずーっと見てても、飽きないの。どっかの建物のベランダでおじさんが伸びしてたり・・・。階段を昇りながら、映画『甘い生活』を思い出した。あれは、ローマの教会だったけど、階段を昇っていくと、街が広がるシーンがあったよね。

お寺の入場券、塔の展望券、2枚切り取られたけど、もう1枚券が残っている。この券は何だろう??? もう1か所、見るべき場所があるのかしら。近くにいたおばちゃんに尋ねると、今、上ったばかりの塔の入口に連れていかれた。

「今、上ったところなの!」と、日本語と英語とカラダで表現してみたが、通じない。そのうち、「なんだ、なんだ」と人が集まってきて、おばちゃんとわたしは人垣に囲まれた。みんな、怒涛の広東語で「あーでもない、こーでもない」と言っている。あっそうだ、さっき、わたしが塔に上ったとき、切符を切った「目撃者」のおじさんがいた。英語は意味がないようなので、目とカラダと日本語で、「もう上ったって、おばちゃんに伝えて!」と頼んだら、通じた。

この第三の切符、どんな意味があったのかは、謎のまま。

次は中山記念堂へ。国父・孫文(中山先生)の偉業を称え、広州市民+広州出身の華僑が建てたのだという。孫文が大統領だったころは、ここに官邸があったそうだ。八角形の屋根を持ち、建物の内部は柱が1本もないという記念堂は、イベントをやっていて(?)入れなかったけど、資料館などをさらっと見る。敷地には、お花がたくさん咲いていて、きっちり整備されていた。

中山記念堂の裏門から出て、越秀公園へ。ここは広州最大の公園なんだってね。入ってちょっと坂を登ったあたりの広場で、老いも若きも入り乱れて、パラパラのような音楽に合わせ、竹の子みたいな動きの踊りを踊っていた。あれっ、気功じゃなくて!?

さらに奥へと進むと、鎮海楼がある。原始時代から今日までの広州の歴史を語る品々が展示されているという。しかし!ここで時間切れ・・・。鎮海楼の内部は、想像とイメージとして残ることに。ま、いいか。また来るしね。広州は、また来たい街だから。

タクシーに乗ってホテルに戻り、荷物をピックアップして、地下鉄駅へ。まだ新しい地下鉄の駅は、香港スタイル。券売機も、切符がカード式なのも。ただ、紙幣が使えないので、両替窓口で「広州駅に行く」って言って10人民元出すと、券売機で切符を買うため4人民元コインと、6人民元の紙幣をくれる。でも、それじゃあ、券売機がある意味がない!?

地下鉄は順調にカッ飛ばし、広州駅に到着した。ここで人民元−>香港ドルの再両替で、カオス系な出来事が・・・。これについては、今度、「両替スペシャル」(!?)で詳しく書きます。

香港−>広州は2階建ての新幹線ライクだったので、帰りもそうかと思ってたら、あら、ビックリ、ヨーロッパでよく走ってた、クラシックな列車。座席がコンパートメントになっててね、模様が彫り込まれた鏡が、ヘッドレストの上についている。ヨーロッパを鉄道旅行している気分で、妙にうれしい。

定員6人のコンパートメントは、4人の広東人、イスラエル人の貿易商、そしてわたしで満員。イスラエル人は英語が喋れるので、しばらくお話した。いいひとなんだけど、でも、日本の経済不況のハナシとかしたがるんだよね。旅先でこういう話題って、不粋じゃない? じゃあ、パレスチナ問題、どーするんだ!?って詰め寄りたい気持ちをグッと抑え、お昼を食べることにした。

食堂車のメニューはオール漢字でちっともわからなかったけど、隣りに座った香港人が、助け舟を出してくれた。蒸し魚+油菜で80人民元(約1360円)。高かったけど、100人民元以上余ってたし、ま、いいか。で、出てきたのは、大きなお魚まるごと1匹! 日本の定食、切り身魚を想像してたわたしの発想が貧困でした。しかも、とってもおいしいんだよね。満足気にむしゃむしゃ食べるわたしに、助け舟を出してくれた香港人のおじさんが言った。

「この魚は養殖だよ。中国の魚は養殖ばっかりなんだ。香港に戻ったら、もっと、ずーっとうまい魚が食べれるよ!」。


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