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9/25/2000
オルフェ
1999年 ブラジル映画(原題 ORFEU)
神はオルフェに嫉妬した!?
ギリシャ神話のオルフェとユリディスの物語をベースに、カーニバルの夜に燃え上がる運命の恋を描く。古典的でメロドラマチックなストーリー、炸裂するサンバと愛のメロディ、そして、社会的なメッセージまでも含んだ多面的なブラジル映画。今年の秋はこれがイチ押し!

PHOTOS http://www.gaga.ne.jp/


<物語の始まり>
オルフェは、リオのスラム街カリオカの丘に住む若き天才ミュージシャン。カーニバルで何度も優勝を経験し、警察にも一目置かれる丘のヒーローだ。彼が歌えば、朝日が昇り、動物だって彼の歌声の虜になってしまう。一方、ルシーニョはスラムを仕切るギャングのボス。麻薬取り引きで成り上がった彼は、オルフェの幼馴染みだった。
ある日、この街にエキゾチックな美少女が現れる。両親と死別し、親戚を頼りにブラジルの奥地からやってきたユリディスに、一目惚れしてしまうオルフェ。カーニバルの情熱に煽られるかのように、運命の恋は燃え上がる。しかし・・・。

<ラテン>
この映画は、とってもラテン的! さまざまな側面からラテンがほとばしってる。
その1)音楽。全篇に流れるサンバと愛のメロディ、興奮せずにはいられない!とりわけ愛を囁く甘いメロディは、映画を見てる観客までとろけさせちゃう。
その2)メロドラマ。ギリシャ神話を題材にした「運命の恋」、とろとろにメロドラマな展開・・・といえば、テレノベラ! 身を焦がす恋、交錯する情熱、そして歯の浮くような誉め言葉の数々。ラテンなアモールを体験しましょ。
その3)社会的問題提起。物語の背景には、ブラジルが抱える大きな問題「貧困」が、ガシッと根を張っている。ラテン諸国では、貧困層が国民の70〜80%を占めている国は珍しくない。ソル・イ・ソンブラ、光と影。

<『黒いオルフェ』のリメイクか!?
名作の誉れも高い映画『黒いオルフェ』(1959年)。ボサヴァ・ムーブメントの一翼を担った詩人ビニシウス・ヂ・モライスの脚本をもとに、フランス人監督マルセル・カミュが描く世界は、やたらとエキゾチックだった。まだプリミティブだったカーニバル、遥か遠くの異郷として描かれたリオの街、美少女をつけ狙う仮面の男の謎、そして輪廻転生を予感させるラストシーン・・・。
しかし、『オルフェ』の製作者たちは、口を揃えて言う。ブラジル人は『黒いオルフェ』が好きじゃない。あの映画は、外国人から見ただけのブラジルで、本質を捉えていない。だから、この『オルフェ』は、リメイクじゃないんだ、と。
映画を見比べて実感するのは、今回の『オルフェ』が持つ社会的メッセージの強烈さ。「運命の恋」をブラジルの現実問題を絡ませながら描き、見事な作品に仕上げてます。

<出演者など>
オルフェ役 トニ・ガヒード
実は彼ってミュージシャン。シダーヂ・ネグラっていうブラジルのレゲエ・バンドのボーカルです。役者経験はなく、この役はオーディションでゲットしたんだそう。サラッとした演技がいい感触だけど、鼻が上向いてる・・・。

オルフェの恋人ユリディス役 パトリシア・フランサ
大スターではないけれど、ブラジルでは知られた女優だそう。この映画の監督カルロス・ヂエギスと以前仕事をした経験から、この大役に抜擢されたとか。

監督 カルロス・ヂエギス
カンヌ、ベネチアなど国際的な映画祭で多くの賞を受賞したブラジルの有名監督。"BYE BYE BRAZIL"(1980)は、日本でもビデオ発売されてます。旅芸人の一座が繰り広げる、ユーモアと愛、ちょっと哀愁の物語。お薦めです。 また、"XICA DA SILVA"(1976)は、テレノベラ化されました。

音楽 カエターノ・ヴェローソ
現代ブラジル音楽の巨匠。坂本龍一とコラボレーションしたこともありました。映画を見たらサントラ盤も聞きましょう。感動が蘇える!

関連リンク テレノベラ






オルフェが歌えば、朝日も昇る。


神秘的な美少女ユリディス


運命の恋の行き着くところは・・・


サントラ盤ジャケット写真









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