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07/02/2001

EL PAIS DE LAS MUJERES
女たちの国 ベネズエラ/ベネビシオン製作 1998-1999年

テレノベラ人生を賭けてお薦めする大傑作! 
身勝手な男達に宣戦布告、女たちの壮絶な闘いの火ぶたが、今、切って落とされる!



主人公の女性たち

宣戦布告する女たち 前列 左から Mariana役 Ana Karina Manco、Chiqui役
Lourdes Valera
後列 左から Miranda役 Carolina Perpetuo、Julia役 Nohely Argeaga、Arcadia役 Caridad Canelon、そしてPamela役 Viviana Gibelli
PHOTOS:   http://www.romantica.pl/ http://www.modaweb.com/   http://www.telenovelasinternet.com
<物語の始まり> 
ある日、5人の姪たちのもとに叔母アルカディア危篤の報が届く。取るものも取り敢えず駆けつける姪たち。しかし叔母アルカディアは元気だった、少なくとも身体的には・・・。長年連れ添った政治家の夫に手痛く裏切られ、深い傷を負った彼女は、死の決意を固めていたのだ。

集まった姪たちも、それぞれ男たちとの愛に翻弄されていた。整形外科医との結婚を目前にして、将来の夫の親友と運命の恋に落ちてしまったマリアナ、従姉妹(チキ)の旦那に恋しているミランダ、妻ありプレイボーイとの禁断の恋にもがき苦しむフリア、そしてマリアナの運命の男に骨の髄まで惚れちゃったパメラ・・・。

姪たちの苦しみを目の当たりにした叔母アルカディアは、死の決意を翻す。替わりに夫に捧げた今までの人生を葬ることにしたのだ。一致団結した叔母と5人の姪、武装した女たちは、身勝手な男達に宣戦布告する。壮絶な闘いの火ぶたが、今、切って落とされたのだ。

<社会を告発する!骨太なノベラ>
叔母アルカディアの夫アルセニオは、悪徳政治家。賄賂と犯罪にまみれた挙句、身に危険が及ぶと若いを女を連れ、逃亡してしまう。長年連れ添ったアルカディアのことなど、ほんの少しも気にすることなく・・・。マリアナの婚約者、整形外科医のロドルフォは、地位も富もあり、一見いい人だが実は超腹黒い男。悪徳政治家とグルになり、犯罪に手を染めている。アルカディアの友達カタリーナの夫は、マッチョで暴力的な警察官。フリアが惚れこんだ、ひとりの女を愛し続けることができない優柔不断な俳優・・・。

しょうもない男たちは、時に確信犯的に、時に知らず知らずのうちに、女たちを深く傷つける。妻をメイドのように扱う暴君の夫や、浮気性の愛人に、「ノー」を突きつけようと、愛と拒絶の狭間で悶え苦しむ女たち。男と女の性がぶつかり絡みあい、互いに痛手を負い、極限まで追い詰められていく。その過程で、この国が抱える政治や警察の腐敗を、告発するのだ。

唯一の救いともいえるのは、マリアナの運命のひと、カミロ・レイジェス。悪徳政治家アルセニオの本性を白日のもとにさらけ出す暴露本を出版するため、命を賭けて奮闘する。その本のタイトルは、"Cronica de un pais sin voz "(声のない国の記録)。

<188話完結、しかし飽きさせない!>
ここまで読んだ読者のみなさんは、すでにご察知かと思います。そう、長くて複雑で登場人物が多いノベラのなかでも、この作品は、とびっきり長くて、超複雑なんです。制作したベネビシオン www.venevision.netの資料によると、1時間枠で全188話。野球中継や特別番組が入ったりすることもあるから、ほとんど1年近く続いたのね。ストーリーに絡む登場人物は、30人近くに及びます。それでも飽きさせないのは、脚本家レオナルド・パドロンの緻密なストーリー展開によるところが大きいと思うんだけど、他にも楽しめる要素が盛りだくさん。

1.芸達者な出演者たちと、登場人物のキャラのおもしろさ
脇役がビシッと固めてるのに、ヒロインが大根とか、だいたいどっかに穴があるのが世の常なのに、このノベラは、完璧なキャスティングじゃない!?って感心するほど、芸達者が揃ってる。

特に、後半に登場するナタリア役の女優さん、アマンダ・グティエレスはすごい。18年前、姉アルカディアの夫(悪徳政治家)と関係を結んでしまい、極秘のうちに女のコを出産した後、ヨーロッパへ。しかし突然、帰国し、女たちの心を掻き乱し、物語を思わぬ方向へと導く。ナーバス、なのに大胆、かつエロティック、複雑なキャラを見事に演じてます。ついでに言っちゃうと、彼女はパメラとミランダの母でもあるのね。

突出してるキャラは、ビビアナ・ジベリ演じるパメラ! 名声と成功に執着し、ライバルたちに恐怖の罠を張る売れない女優。他人の不幸をあざ笑い、陥れ、策略を練る。なのに仕事も恋もうまくいかず、逆に自分が不幸のどん底に突き落とされたりして、悲哀もあり、しかもコミカル! 不本意ながら洗剤の生コマーシャルや、天気予報の仕事もするのね。さて、彼女は、夢のハリウッドでスターの座を手に入れることはできるのか?

あと、伏線上に、カッコいい男が出てくるのも、楽しいし、演出も上手。主役の座を奪われ、パメラが罠に陥れようとしたライバルは、隠蔽された過去に潜んでいた実の妹。劇中劇状態で、テレノベラのオーディションで競いあい、人生の虚実が交錯する。

2.血脈、そして身の毛もよだつ骨肉の争い
実姉アルカディアの夫の子供を産んでしまったナタリア、実の妹とは知らずに主演女優の座を奪い取るため罠を張るパメラ、ひとりの女を奪い合う父と息子、そして何と!実の娘と知りながら、手を出した悪徳政治家・・・。血が繋がっているからこそ、確執は深まり、絶望の淵に立つ。

「ご飯も食べず、シャワーも浴びず、仕事もせず、ひたすら言い争ってるんだよね」と言った人もいるくらい、ベネズエラのノベラの真骨頂は「骨肉の争い」。愛と憎しみ、嫉妬、欲望がグルグル渦巻き、汚職、殺人、裏切りが絡み、"Sangre de antipatico"(悪意ある血)なんて表現まで飛び出す。さあ、登場人物たちが迎える結末とは?

3.ユーモア
ずっと骨肉で188話見てたら、窒息しちゃう。このノベラがおもしろいのは、悪いやつらのユーモアのセンス! マッチョで暴力的な警察官は、若い女が大好きで、痛い目にあっても、あっても女の尻を追いかけ回す。悩殺美女を呼び込み、今夜もメレンゲ・パーティざんす。ライバルたちに恐怖の罠を張る売れない女優パメラは、久しぶりの天気予報のお仕事に、カラダを張って、服を脱ぎ捨てながら気象を予測する。Hが大好きな彼女、拘置所で迫っちゃったりもして・・・。

悪いやつらが、ただひたすら悪役に徹するんじゃ、飽きちゃうもんね。悪役だけじゃなくて、登場人物たちの愛の表現、言葉や態度の端々に、ラテン的なユーモアがあって、楽しめます。

4.ファッション・センス
勝負服、勝負化粧ってよく言うけど、ラテンの「勝負」は徹底してます。例えば、売れない女優パメラがハリウッドに乗りこむときのいでたちは、赤のジャンプスーツに、黒いベルト、パンタロンの折り返しは豹柄、その上から更に豹柄のコートを羽織っちゃう。で、赤いオープンのスポーツカーで、ロメオドライブをかっ飛ばす。もちろん化粧は、コッテコテ! 山本リンダも真っ青なヘソ出しルック、筋肉つけて臨みましょう。パメラ役のビビアナ・ジベリ、すっごい鍛えたカラダしてるよ。

5.主題歌は天下のエンリケ・イグレシアス
オリジナル・バージョンでは、オープニング・テーマが "Ruleta Rusa"、エンディング・テーマが "Esperanza"。曲を知ってるひとはわかるでしょう。"Ruleta..."は、ちょっと不安をかきたてるアップテンポな曲、"Esperanza"は、どこまでも切ないラブ・バラード。ストーリーにピッタリ合った、見事な選曲、しかも曲の使い方がうまいんだ。アメリカのウニビシオンで放映されたバージョンは、"Esperanza"のみをテーマ曲に使ってます。使用料が高かったのかしら・・・。

マリアナ役 アナ・カリーナ・マンコ
5人の姪のひとり、マリアナ役アナ・カリーナ・マンコ。彼女とカミロの炎の愛が純愛の核となる。


ミランダ役 カロリーナ・ペルペトゥオ
同じく姪のひとり、ミランダ役カロリーナ・ペルペトゥオ。宝塚の男役系で、カッコいいです。


パメラ役 ビビアナ・ジベリ
同じく姪のひとり、パメラ役ビビアナ・ジベリ。富と名声に執着し、ライバルたちに恐怖の罠を張る売れない女優。と同時に悲哀とコミカルなキャラも併せ持つ、物語の展開のキーパーソン。


フリア役 ノエリー・アルテアガ
同じく姪のひとり、フリア役ノエリー・アルテアガ。既婚のプレイボーイに惚れてしまい、辛酸を舐める破目に・・・。


カミロ役 ビクトル・カマラ
マリアナの炎の愛のお相手、カミロ役ビクトル・カマラ。ちょい太めだけど、いい感じ。


サンドラ役 マリア・ファビオラ・コルメナレス
フリアが惚れたプレイボーイの本妻、サンドラ役マリア・ファビオラ・コルメナレス。悪女ぶりがステキ。

<つぶやき>
途中、入手不可能な状態になり、さんざ探し回った挙句に、川崎まで探索の旅に出た。借りてたらキリがないので、お店に交渉してビデオ30本まとめて買いとって、足掛け3年かけて見終わったこのノベラ、ものすごく思い入れがあります。ま、言わなくてもわかるか。今回の紹介、ものすごく力入ってるでしょ。ホントは、このノベラに関するネタ、まだまだたっくさんあります。また追加して更新するかも・・・。

ラテンアメリカのそれぞれの国に、それぞれアクセントはあるけれど、個人的に、ベネズエラのスペイン語って、大好きなのね。語尾の上がり方とか、呼びかけるときや、強調したいときに使う「チーコ!」「チーカ!」とか。(チーコは男のコ、チーカは女のコの意味だけど、オヤジやおばさんにも使う)。

このノベラ、ベネズエラでは、夜のゴールデン・タイムに放映されてたけど、アメリカやエクアドルでは、昼メロ枠での放映でした。長くて複雑、重い内容なので、扱いにくいのかな? 
でもわたしにとっては、今まで見たノベラの中で、間違いなくベスト3に入る、忘れられない1本。主人公のひとりになった状態で、入り込んで見ちゃいました。

 

関連リンク
このノベラの脚本を書いたレオナルド・パドロンの作品 "Amantes De Luna Llena"
このノベラに出演したベネズエラ人女優 Nohely Arteaga 詳細情報! 09/24/2001






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