ホーム世紀末な???中南米旅行インデックス コロンビア

4/5/1999

踊れ!踊れ!カーニバル(バランキージャ)


バランキージャのカーニバルは、南米ではリオの次に大きい」って、ローカルたちは自慢する。そう、カーニバルは、観光的なみどころがあんまりないこの街の大イベント!

その1〜パレード
パレードは2日間にわたって行われ、仮装したグループが何キロにもわたって練り歩くストリート・カーニバル。沿道には仮設観覧席が設置される。

入場券は2日分で45000ペソ(約3600円)。これはコロンビアではビックリするほどの金額なんだけど、このチケットを買って観覧席内に入っちゃえば、こっちのもの。警備が厳重なので、泥棒が入り込む隙はない…はずだったんだけど、どさくさにまぎれてチケットを持っていない人が入り込もうとしてた。したらもう刑事ドラマの捕物劇みたい。「あいつだ!」「追え!」「捕まえろ!」って係員たちの声が殺気だってる。警備員が大きな音をたてて走っていき、すぐに捕獲されたけど…。

仮設の観客席は段々になっていて、もちろんちゃんと座れる。でも作り方がどんぶり、どっかのネジがはずれて崩れ落ちたら大惨事…なんてふと思ったけど、だいじょうぶでした。沿道の警備もこれまた厳重で、警官(もしかしたら軍隊も? 同じような制服を着てるので、見分けがつかない)が2メートルおきくらいに立っている。のんびりした明るい音楽が流れるなか、原色の衣装を身につけたパレードが踊っているカーニバルの風景と、軍服系の警官たちのコントラストは、とってもコロンビアなイメージ…。

色で埋め尽くされた原色の集団、パレードは次から次へとやってくる。カーニバルの女王が乗った派手派手もの、アフリカを連想させるディープなグループ、ゲリラの格好をしたグループ、ビキニを着た行け行けドンドン系、子供たち、おばあさんたち…。コロンビアで超人気のテレノベラ "PERRO AMOR" の主人公もパレードに参加してたんだけど、けっこうチャチかったので、まさか本物の主人公がいたとは思わなかった。

いっしょに行ったコロンビア人グループのひとり、ルビーはとってもバランキージャなおばさん。面倒見がよくて、よく喋り、あっかるい。前に座っている人たちが興奮して立ち上がると、「座りなさい!」と何度も注意するんだけど、興奮するとみんなすぐ立ち上がる…の繰り返し。でもパレードに参加してた彼女の息子が登場すると、「ウオーッ!!!」と雄たけびを揚げて立ち上がり、彼が見えなくなるまで、立ち上がりっぱなし。

観客席にはモノ売りがたくさんいて、なぜか小麦粉みたいなクッキング・パウダーを売っていた。何するのかと思ったら、このパウダーを顔や体に塗りまくるのね。パウダーはお互いに塗りあったり、つかんで投げたりするので、もうみんなまっ白け…。で、水もかけあったりするので、もう体も服も持ち物もグシャグシャ…。このパウダーは MAIZENA といい、トウモロコシでできてます。

「たばこ吸ってもいいのかな」

いっしょに行ったコロンビア人グループのもうひとり、クラウディアに尋ねてみた。たばこ吸ってるひと、全然いないんだもん。すると彼女は大きく胸を張って言った。

「ディス・イズ・ア・フリー・カントリー!!! ここはコロンビア。アメリカみたいに禁煙場所、喫煙場所なんて分かれてないし、好きなことをしていいのよ」

彼女はアメリカの大学を卒業していて、英語が喋れるのね。で、途中から英語モードに突入した。それにしても、「ここは自由の国」ってのは、いい表現。ちょっとドキッとしたけど…。

で、アメリカにいただけあって、垢抜けてる。CKのリュックに、上げ底のサンダル、ピタッとしたTシャツにジーパン…、ちょっと前の日本の女のコみたいなファッションなの。ローカルなコロンビア人が、「どこから来たの?」って尋ねてたくらい。コロンビア人には見えないんだよね。

パレードは1時間半くらい遅れて2時半ごろから始まり、暗くなるまで続いた。でもこれだけじゃ終わらない。帰り道、偶然通りかかったバーで、またひと盛り上がり、生バンドに合わせて踊りまくった。クラリネット、トランペット、トロンボーン、小太鼓、大太鼓、シンバルの6人編成で、ラテン系民謡を素朴に演奏してくれる。カーニバルはずーっと見てるだけだったから、踊りたくって仕方なかったわたし、思わず燃えて踊りまくった。お客さんのひとりが、ラップっぽく「合いの手」を入れるのもカッコいい。ホントに楽しみ上手だわ…。

演奏が終わると、バンドのメンバー一人一人から握手を求められ、お客さんからも英語やスペイン語でやたらと話しかけられ、まるで「女王様」状態。これって、町内盆踊り大会に外国人が飛び入りした…って感じね。

その2〜ライブ
メレンゲ、サルサなどのバンドが競演するライブ会場は陸上競技用のスタジアム。で、警備がまたまたすごい。スタジアムの外には警官がてんこ盛り、入口では警官が列をつくって持ち物チェック。そして、映画に出てくるような、ドーンとした体のコワい顔した婦人警官が身体検査をするんだけど、空港の身体検査なんかよりはるかにきびしくて、体じゅう触られまくる。

で、会場内も警官だらけで、ステージの両脇にも警官が立っている。戒厳令のコンサートみたい。人がたくさん集まるところはテロの標的になりやすいからね。それに何年か前、コロンビア人の超人気歌手 SHAKIRA がここバランキージャでライブをやったとき、事故が起こって死者が出たっていうし…。

そんな厳戒体制の警備のなか、演奏されるのはあっかるいラテン系音楽、サルサ、メレンゲ、クンビア、バジェナート、ガイタetc.,etc.,。ホント、このコントラストはコロンビアらしいって思っちゃう。

いろんなバンドが次々出てくるから、セッティングの待ち時間が退屈…なんてことはない。ピエロっぽい仮装をした男のコが、「踊ろうぜ!」と呼びかけると、みんな走って飛んでいき、大集団で踊りまくる。彼がステップを踏むと、みんなも彼に合わせてステップを踏む。自然発生的なグループとは思えないくらいまとまってて、大喝采を浴びてました。次のグループの演奏が始まっちゃう、「えーっ、つまんない!」ってため息が漏れるくらい。こうやって人生を楽しむのがコロンビア!

お手洗いは7〜8個並んでる。で、それぞれのお手洗いの間におばさんが座っていて、料金を徴収するんだけど、呼び込みが強力なのね。自分のお手洗いに入ってほしいもんだから、「こっちよ!こっちよ!」って、一斉に手招きするの。お手洗いに入るときに、こんなに営業されたの初めて!

ライブにはバンドだけじゃなくて、コロンビアの国民的歌手 ESTERCITA FOLERO も登場した。彼女は NOVIA DE BARRANQUILLA(バランキージャの恋人)と呼ばれ、コロンビアの母的な存在。長いキャリアを誇り、歌うだけではなく、作曲もするそうだ。あと有名どころで出演していたのは、ORQUESTA GUAYACAN DE CALI(GRUPO NICHEから派生したコロンビアのサルサバンド)、LUIS FELIPE GONZALEZ(ベネズエラのサルサシンガー)、EDDY HERRELA(ドミニカ共和国のメレンゲ・シンガー)などなど。

そうそう「カーニバルの女王」もご挨拶をしてました。カーニバルの女王に選ばれるのは、本人にとっても、家と親戚一同にとってもたいへん名誉なことなんだけど、けっこう政治的な絡みがあるらしい。

で、他にもいろんな女王がいるんだけど、「警察の女王」まであるの! で、「警察官サルサバンド」も登場し、見事な演奏を聴かせてくれました。警備してるだけじゃなくて、芸達者なのね。そういえば警備してた若い警官たちも、夜になると、観客の女のコとお喋りしたり、デジカメで撮ってるところを覗きに来たりしてたっけ…。

ライブ会場で2人の日本人の男のコに会った。ひとりは南米を6か月くらい旅行中、もうひとりはベネズエラの大学に留学中だって言ってた。彼らとローカルなともだちと、踊りまくり、騒ぎまくり、盛り上がり! 家に戻ってシャワー浴びてたときに、足に大きなシミを発見! 最近まで消えなかったんだけど、ただの打ち身だったのかしら…。

バランキージャ(BARRANQUILLA)
コロンビアのカリブ海沿岸最大の都市で、コロンビアでも4番目に大きい。人口約103万人。観光的な見どころはあんまりないけど、この地域で一番重要な港を持ち、商業と工業の中心地。有名な観光地カルタヘナまでバスで約2時間。湿気が多く、年間平均気温は28C。

 

関連リンク
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テレノベラ

 


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