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3/8/1999 |
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パラダイスなロス・ロケス諸島 でも飛行機が壊れて、空港で5時間待ち! | |
チェックイン・カウンターに並んだけど、30分くらいたってもいっこうに列が前に進まない。ベネズエラでは、とっても待たされることが多かったから、もう慣れてきてたんだけど、それにしてもヘン。 「問題がある荷物がある」「問題のある搭乗者がいる」「飛行機に問題がある」…。なんだかんだ言ってるんだけど、なんだかようわからん。そのうちおふれが出た。「出発は2時間遅れて10時!」。えーっ、どうして??? って尋ねたら、どうやら飛行機が壊れちゃって、修理してるらしい。壊れちゃった飛行機は、マルガリータ島(ベネズエラの有名な観光地)で修理してて、直ったらカラカスに飛んでくるから、「ちょっと」待ってねって言うの。 「他に飛行機はないのか!」って他の客が食いつくと、「ない」で済まされた。仕方ない、お腹が空いてたから、カフェで朝食を食べることにした。カフェで前に座っていたのは、チェックイン・カウンターで並んでた女性。話しかけてみたら、彼女の娘が「ただいま交渉中!」なんだそうだ。払い戻させるか、他の航空会社に振替輸送してもらうか…ってことね。 ここからバトルは始まった。気が弱そうな航空会社の担当の男のコは、でも打たれ強い性格らしくて、「できないことはできない」と主張する。払い戻しはここではできないから、買った旅行代理店に行ってねとか(空港からカラカスの街の中心まではタクシーでも30分近くかかるのに)、振替輸送ってシステムはないから、どうしても他の航空会社に乗りたいんなら、改めてチケット買ってねとかそういう感じ。 20人くらいいた乗客のなかでも、特にパワー全開系の3人のベネズエラ人女性を中心に、わたしたちは辛抱強く交渉を続けた。「彼じゃ埒があかん」と強く感じた彼女たちは、「他の航空会社には飛行機もある。パイロットもいる。ぜったい替りの飛行機を飛ばせてやる!」とばかりに、他の航空会社にも交渉に行った。 攻防は2時間を超え、骨肉へと深まり、けっこう疲れたわたしは別の手段に出てみた。「ねえ、出発が遅れちゃって、わたしの時間がムダになったんだから、1泊オマケしてくれない?」。気が弱そうな航空会社の担当の男のコもたぶん疲れていたんだと思う。あっさり受け入れてくれました。 もうあとは待つしかない。でも待てども待てども飛行機は飛んでこない。出発するはずだった時刻10時はとっくに過ぎた。交渉をあきらめ、出発を決めた乗客たちも次々とチェックインを済ませた。でも飛行機は来ない。更に2時間が過ぎたころ、誰かが叫んだ。 「あっ、あの飛行機だ!」 さらに30分くらい待って、ついにそのときが来た。「さあ、みなさんお乗りください」。いそいそと歩き出すわたしたち。もう5時間もいっしょに待って、すっかり家族のように団結してたの。 飛行機に乗りこんだのはいいけど、2つしかないプロペラのうち、左側のプロペラが回らない。やっぱ、壊れてるんだ…。機内に暗い空気が漂う。でも整備員たちがせっせといろいろやって、手でグワンと回したら、回っちゃったんだわ、プロペラが…。で、そのまま出発した。 いくらわたしたちが食い殺しそうな顔して、「さあ出せ、いま出せ、とっとと出せ!」って迫ったからって、そういう乗客をなだめて、飛行機の安全をきっちり確認するのが航空会社の仕事でしょ。それなのに、壊れてる飛行機出しちゃうなんて、ドンブリ過ぎる…。南米で飛行機事故が多いってデータがあるらしいけど、わかる気がするよね。わたしはシートのポケットに入ってた救命胴衣を着ました。他の人は着てなかったけど、固まってた…。 でもわたしたちの怒りと恐怖は、飛行機の窓から目的地が見えたとき、すべて消えた。そう、珊瑚礁に浮ぶ、こわいくらいキレイなロス・ロケス諸島が見えたの。機内に歓声が上がり、自然と顔が笑ってた。待った甲斐ありだ! ロス・ロケス諸島の中心的役割をしてるグラン・ロケ島に着き、お昼ゴハンを食べてから、ボートでフランシスキ島へ行った。今までにも、メキシコのコスメルとか、キューバのカヨ・ラルゴとか、キレイな海はいろいろ見たけど、もしかしてここがナンバー1??? グラデーションになってる海の色…濃い青、深い青、エメラルド・グリーン、クリスタルの順番で砂浜に向かっていくんだけど、この「深い青」の青がすごいの。ゾクッとするくらいキレイ。白い砂浜の色は、どんな白よりもやさしくて、なめらかで、気持ちをなごませてくれる。混沌の後、パラダイスな島にたどりついたわたしたち、自然のちからに敬服するの巻。 夜になって、空港でいっしょに待った「家族」が再会した。このメンバー構成が超マルチ・ナショナル! イギリス人と結婚し、イギリスに30年以上住んでいて、今はイギリスとベネズエラを行ったり来たりしている元スッチーのベネズエラ人女性と、彼女の親戚のイギリス人親子。ハンブルグに住んでいるベネズエラ人の外交官の女性と、ニューヨーク在住の彼女の娘。ベネズエラとオランダのハーフで現在オランダ在住、航空会社勤務の女性、その旦那さまはギリシャ人で7か国語を操る。かと思えば、フランス語のみ!のスイス人夫婦、などなどなど。 そのメンバーの何人かと、MADURGADAっていうかなりしゃれたバーで一杯ひっかけてホテルに帰ろうとしたら、道に迷った。ここは町っていうか、村っていうか、とにかくとっても小さい集落なの。迷うなんて、とってもむずかしいこと。やっぱ、あんまりキレイな海を見て、本能をどっかに落としてきちゃったのかもしれない。 翌日もボートに乗って、もう一度フランシスキ島へ行き、そのあとマドリスキ島に行った。ガイドの男のコが、「昨日と同じところに行くんだけど…」って申しわけなさそうに言ったけど、全然気にならない。シュノーケリングをしたけど、風が強くて、波が立っちゃっておサカナがあんまりきれいに見えなかったけど、構わない。パラダイスな島、ロス・ロケスに来れただけでシアワセ。海をいつまでも見続けているだけで、全然飽きないの。 わたしたちが滞在していたグラン・ロケ島には、ゴージャスな4〜5星ホテルはない。テニスコートとか、そういう施設もない。宿泊したポサダ(ホテルよりもシンプル、ロッジって感じね)は、お湯も出ないし、テレビもない。水を節約しなくちゃいけないから、洗面所の蛇口はひねってないと水が出ないタイプ。タオルも毎日替えてくれるわけじゃない。 でもそれでいいと思うんだよね。妙に人工的で、ラグジュアリーなリゾートって、もう終わっちゃった感じがする。自然のちからを思い知らされるようなすごくきれいな海があって、ゴハンが食べれれば…。ウチにいるとき、毎日バスタオル洗濯する? グラン・ロケ島には、けっこういろんなところにゴミ箱があって、カン、ビン、プラスチック、紙用の4つのゴミ箱が並んでて、ちゃんと環境にも配慮してる。 出発する朝、空港で「家族」になった7か国語が喋れるおじさんが言った。彼らはあと1泊するんだそうだ。 「今日の午後、またここで会わないことを祈ってるよ」 つまり、「飛行機が遅れて、まだここにいる」なんてことのないようにっていう意味。なかなかユーモアがあるでしょ? 「もし飛行機が壊れちゃったら、ボクたち、9時半にボートで別の島に行くから、浜辺においで」 でもわたしたちの飛行機は、ほんのちょっと遅れただけで、ロス・ロケスを飛び立った。最初、左側のプロペラが回ってなかったから、たぶん来るときに乗った飛行機ね。そのまま使っちゃってるんだわ…。 <ロス・ロケス諸島について> わたしが利用したのは1泊2日のツアーで、往復の飛行機代、ホテル1泊分、ブッフェの食事が4食分、それに2回のボートツアーがついて US$ 351でした。でもすったもんだがあったおかげで、ホテル1泊+2食がオマケでついて、ラッキー!
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関連リンク ロス・ロケスの写真を見る |
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