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05/14/2001


ガイアナでございます
その2 ジョージタウン散策、エキゾチック!


ガイアナ到着当日

「こんなところで、1週間も何をしたらいいんだろう???」。
ブツブツとひとり言を言いながら、ホテルから町の中心に向かった。10分も歩くと、現代的な!ビルが見えた。5階建てくらいだけど、このあたりでは飛び抜けて高い。タワーホテルという、ビジネスマン向けの高級ホテル。近づいていくと、1階には、インターネット・カフェがある。妙にほっとしました。日曜日でお休みだったので、営業時間をチェック。なんと!朝7時から夜の11時まで、やっているという。このホテルには、旅行代理店も入っている。

さらに歩くと、巨大な木造建築のカテドラル(St George's Cathedral)が見えた。そうだ、タクシードライバーのシャフェークが、「世界で2番目に大きな木造建築の建物なんだぜ、ベイビー!」(*注1)と、自慢気に言ってたのが、これだわ。このあたりは町の中心で、シティホール、最高裁判所などの官公庁系建物が軒を連ねている。そのほとんどが木造、屋根が尖ってて、英国の香りが漂ってくる・・・。トリニダードの首都ポート・オブ・スペインでも、こんなオモチャみたいな家が並んでいたっけ。

しかし・・・きれいなエリアはごく限られていた。ちょっと歩くと、ややカオスが入る。マキシー(乗合タクシー)のおにいさんたちが、行き先を連呼しながら、「乗っていきなよ!」としきりに誘う。インド系の人々がたくさん行き交い、『踊るマハラジャ』のような音楽が流れる。アフリカ系も多くて、ヒップホップも流れる。全然聞き取れない英語。他の中南米諸国、旧スペインの植民地とは明らかに違う、英国風、オランダ風の古い港町的建物が立ち並ぶ街並・・・。

途方に暮れながら、「ここはどこ?わたしはだれ?」状態になりながらも、わたしは妙な達成感に酔っていた。ついに世界の果てまで来た! ホンモノのエトランジェになった!って・・・ね。わたしを知っている人は、だれもいない。南米の秘境、ガイアナのジョージタウンをひとりで歩いてる!

身の危険を全然感じなかったのは、感じる余裕がなかったからか・・・。でも、ある瞬間、疲労が襲ってきたので、ケンタッキーに入ることにした。ヒンドゥー教徒の多いこの国には、マクドナルドはまだ進出していないの。サブウェイはある。

ケンタは、特権階級的雰囲気に満ちていた。ガンガンに効いたエアコン、こわもてな警備員、品のいい従業員とハイソな客たち・・・。どっかの高級レストランかと思っちゃうくらい。サンドイッチ・コンボを食べながら、わたしはしばし放心状態で、2階の窓から外を見ていた。STABROEKというマーケットが目の前に見える。そのまわりに並ぶ出店。色鮮やかなパラソル、そして、乾いたトタン屋根・・・。

ホテルに帰る途中、カテドラルに寄った。祈りが必要だったから。神様に挨拶しとかなきゃ・・・って、強く感じた。

教会ではミサが行われていた。遠巻きに見てると、神父さんが、「こっちに来なさい」と手招きをする。彼は最初、「ひやかしの観光客」だと踏んだような気がしないでもない。でも、わたしは真剣だった。賛美歌を歌い、説教を聞き、跪いて祈り、献金し、白いエビセンのような食べ物とワイン(キリストの体と血)を口に含んだ。

参列者は、年配の女性などほんの数人。インド色の強いこの国では、キリスト教の信者は少ないのかもしれない。教会の内部は英国風、神父さんはアフリカ系、参加者は中国系、パイプオルガンが流れる。エトランジェな感覚は、一層強まった。

ミサが進むにつれて、開け放された入口から見える外の景色は、だんだんコントラストが弱くなり、夕暮れの色に染まり始めた。そのころには、神父さんやミサの参加者たちと、心地よい一体感が生まれていた(ように思う)。

それにしても、ミサに参加しながら、「これって、どこかで見たシーン」って思ったら、テレノベラだった。発想が貧困・・・。

神様に守られているような、そんな気になって、暗くなりきる前、ホテルに戻った。

ガイアナ到着2日め

しっかりと朝食を摂った。ホテルの従業員たちみんなの「泥棒に気をつけて!」との声援?を受けながら、いざ、町へ! 昨日、目星をつけておいたタワーホテルの旅行代理店は、やや高め。即決しようかとも思ったが、ちょいと散歩してから決めることにした。

「お金はどこに入れてるの?」
旅行代理店のスタッフ2人が、心配そうに訊ねる。
「実はね・・・」。
あたりを見まわし、安全なことを確認すると、腹の中に入れている貴重品袋を取り出して、見せた。
「それならだいじょうぶだろう」。
大きく頷くふたり。
「どう?この格好。町を歩いても、だいじょうぶかしら?」
彼らは、わたしの頭のテッペンからつま先まで、首を大きく上下に降りながら、舐めるように見た。その間、数秒。そして、顔を見合わせて、言った。
「だいじょぶだろう。よおし、行ってこい!」

ローカルのお墨つき、自信たっぷりに町へ出た。

まずは銀行へ行き、両替をしてみた。だって、ガイアナじゃ、シティバンクのキャッシュカード使えないんだもん。窓口は長蛇の列で、30分待ち。レート(2001年3月5日)は、現金はホテルとほとんど同じ(1USドル=175ガイアナドル)。トラベラーズ・チェックが1USドル=183ガイアナドル。その差額、50USドル両替して約270円。トラベラーズ・チェックが両替できるっていう利点はあるけど、この程度の差額じゃ・・・ね。並んでる間、旅行代理店でもらった、ガイアナ観光ガイドブック(これがなかなか立派)を読んで、ガイアナ基礎知識を仕入れた。銀行で両替するのは、これっきり!のつもりだったが、午後にまた、今度は1時間、並ぶ破目になる。

次に、リコンファームをするため、航空会社に行った。町が小さいから、すべて徒歩5分で便利。ここも30分待ち。でも、ソファがあったし、効き過ぎなくらいエアコン入ってて、オフィスもきれい、くつろげました。

その次は、電話局。「生きてるよん」と、日本に電話しなくっちゃ。一歩踏みこんだら、タイムマシーン。50年前へとトリップしました。ほとんどナンジャタウン状態、昭和20〜30年代のレトロな雰囲気、昔懐かしい(知らない?)木造校舎の匂い。床を踏むと、ギシギシ音がする。テーマパークじゃないんだから!

国際電話をかける場合は、まず申し込み用紙に、相手先の国、電話番号、希望通話時間!を記入後、サインし、提出。先にお金を払う(なぜか、お釣りは通話後に返却するという)。しばし待つ。「日本への通話の人、4番へ!」と呼ばれたら、今度は壁に掛けられた4番の電話機の前で待つ。かなり長い時間がたった後、電話がリーンと鳴る。受話器を取る。オペレータが何か言った後、ついに!日本の電話のコール音が聞こえ、つながった!!!

さすがにそのころのことは知らないけど、映画で見た戦後直後の電話局のイメージなんだわ。ホントにいま、21世紀って感じ。システムも含めて、何もかもが「木」でできているんじゃないかって、思っちゃった。ちなみにガイアナにも、テレカはあるし、ケータイだってあります。じゃ、何でテレカ使わなかったのかって? 道端で電話してると、注意力散漫になって危ないし、テレカが使える電話機が見当たらなかったから。そうそう、お釣りはちゃんと返してくれました。

このあと、昨日サンドイッチ・コンボ食べたケンタの近く、STABROEKという、町で一番大きな市場に行った。ここもまた混沌で、50年前の世界。(安っぽい)雑貨、化粧品などが雑然と並べられ、衣料品は天井に届くほど高くまで飾られている。奥に行くと、食材が並ぶ。形の揃っていない野菜や果物、生々しい肉、そして強い魚の匂い・・・。

市場の近くの港町的場末風中華食堂で焼きそばを食べた。虫眼鏡を持った怪しげな占い師のおじさんや、物売りが出入りするローカルな場所。中国系の女主人がこわい顔をして子供を叱っている。やきそばは柔らかく、歯ごたえがなかった。

ついでに、他の旅行代理店もいくつかまわったが、どこへ行っても、「それなら、タワーホテルの旅行代理店に行ったら?」との返答が返ってきたのでした。

再びタワーホテルの旅行代理店に行き、3つのツアーを予約した。まず、大河クルーズ。エキセボ川という、ガイアナのアマゾンのような大河をスピードボートでかっ飛ばす日帰り旅行。次は、ジャングル・リゾートで過ごすエコロジーな2泊3日。そして最後は、秘められた滝 KAIETEUR 遊覧飛行。ブラジル国境に近くまで飛行機で飛び、滝を見て、ジャングルを歩くという。ちなみに料金は、大河クルーズが80USドル、エコリゾートが160USドル、遊覧飛行が210USドルでした(値引き交渉後の値段)。

これでひと安心かと思いきや、なんと!この旅行代理店では、シティバンクのトラベラーズチェックは、受け取れないという。クレジットカードだとコミッションが7%くらいプラスされる。

「シティバンクは有名な銀行だ」とわたしが言うと、「それくらいのことは、わたしも知っているわ」と、旅行代理店の女性担当者は、サラっと答えた。
「問題は、ここじゃ、シティバンクのトラベラーズチェックは使えないってことよ」。
「わたしが泊まっているウッドバイン・ホテルでは、使えた」と粘ったが、結局、使えず、銀行へ両替に行くことになる。3つのツアーの合計450USドル。大金なので、旅行代理店のクルマで送迎してくれるという。

銀行は午前中にも増しての長蛇の列。待てど、待てど、進まない。ヒマだったので、外を見てたら、しばらくして、入口のドアが固く閉ざされた。閉まってからも、次々に人々がやってきて、「開けてくれ〜」と懇願する。話だけ聞き、「ダメだ」と再びドアを閉める警備員。

「ねえねえ、営業中の札がかかってるよ」

誰かが警備員に教えてあげた。札を裏返し、「閉店」にする警備員。しかし、人々は続々やってきて、立ち去らない。聞くと、明日は祝日で、銀行はお休みなんだそうだ。募っていたわたしのイライラは、ちょっと解消された。両替できただけ、ラッキーでした。たとえ、1時間待ったとしても・・・。
そして、ぶ厚い札束が渡された。

外に出ると、旅行代理店のおじさんが、のんびりと待っていた。
「もう、待たせ過ぎだわ〜」と、わたしが煙を吐きながら言うと、「まあまあ、落ち着いて・・・」と、泰然自若なのね、どこまでも。

タワーホテルに戻り、女性担当者が札束を数えた。1枚足りなかった。もう一度数えたが、やっぱり1枚足りない。日本円にして、670円くらい。
「銀行ったら、待たせたうえに、1枚ごまかしたのね。でも、まあ、いいわ」
彼女は、気にすることなく、札束を受け取った。

まだ日は高かったので、植物園+動物園に行くことにした。ジョージタウンの少ない名所のひとつ。行ってみたら、公園と植物園が一体化したような、広大な敷地だった。さすがに疲れてたし、公園は無料だった。だれでも入れるということは、コソ泥くんに遭遇する可能性も高い。こんなに広いところじゃ、叫んでもムダだし・・・。というわけで、動物園に行くことにした。入場料、約30円。いたのは、オナガザル、トロピカルな鳥たちなど。動物見てたら、和みました。

長い1日の締めは、インターネット・カフェ! タワーホテル付属?の、ネットカフェは、エグゼクティブな雰囲気ね。美形の受付嬢がふたり、マシンも新しく、接続速度も速く、エアコンがガンガンに効いている。ビジネス・ソリューション・センター的な趣きなの。日本語フォントもダウンロードしちゃって、快適なネット環境をつくっちゃいました。泊まっているホテルまでは、ほんの数百メートルの距離だったけど、もうとっぷり暗くなっていたので、タクシーで帰りました。背に腹は替えられません。

最後になったけど、ジョージタウンって、アフリカ系の住民が多いことを除けば、マレーシアに雰囲気、ちょっと似てる。マラッカとかね。イギリスやオランダの旧植民地で、港町で、インド系が多くて、中国系もいて、イスラム教のモスクもある。それに「世界の果て」を加えた感じかな。

まだまだガイアナは、ほんの序の口。探索はまだまだ続きます。



関連リンク 
ジョージタウンの写真
 シティバンクのキャッシュカード 
テレノベラ 

注1 現地でもらったガイドブックによると、"it is one of the world's tallest free-standing timber buildings"とありました。

 


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