ホーム2001年ラテンな旅インデックス トリニダード

06/11/2001


カーニバル 2 始まり!始まり!

サングラスをかけた女性が、正面からズンズン近づいてくる。ソフィアだ!

今まで国内・海外問わず、いろ〜んなメル友に会ったけど、たいてい、初めて会うような気がしない。ソフィアも、まさにそうだった。まったく違和感なく会って、喋り始めた。直感的に「気が合うな」ってひらめく感じ。彼女の旦那、デーモンのクルマで、ポート・オブ・スペインの町へと、レッツ・ゴォ! 

<到着1日め>
デーモンは仕事に戻り、ソフィアとわたしは町へ出た。カーニバル・チームの事務所に行ったり、ローティ(*注1)を食べたり、のんびりと歩いたりした。7年前に来たときとは、別の国にいるみたい。町にはカーニバルの熱気が渦巻いていたけど、ワンダーランドみたいな、イギリス風コロニアル・スタイルの家々が立ち並ぶストリートは、おとぎの国チック。ま、散歩した場所がアップタウンだったので、落ち着いた雰囲気だったってこともある。でもやっぱり、地元のともだちがいっしょっていうのは、心強い。

夜は「ジョウベ(J'Ouvert)」というイベントに参加する、ソフィアのともだちのチームの練習を見に行く。「ジョウベ」は、カーニバルのオープニングに行われる打楽器の競技会。ビールを飲み、踊り、打楽器を叩く。延々これを繰り返したの。

*ここで、カーニバルのスケジュールと用語?の説明*
トリニダードのカーニバルは、毎年1〜3月にかけて行われる。キリスト教のカレンダーに基づき、復活祭(イースター)から遡って数えられるので、年によって開催日は異なるのね。例えば、2001年のカーニバルは、2月24日(土)〜27日(火)の4日間。特に、26〜27日が大本番で、町中をパレードするストリート・カーニバルは、この2日間に開催される。カーニバルが終わった翌日の水曜日はアッシュ・ウェンズデー(灰の水曜日)と呼ばれてます。

カーニバルを日本語にすると、謝肉祭。本来の流れは、カーニバルで肉を食らい→キリストの40日間の断食修行(四旬節)をしのんで絶食→復活祭、という流れになっていたという。が、今じゃ、楽しいイベントだけが残っている状態。

元々はラテンアメリカを征服したヨーロッパ人が持ちこんだ風習だけど、土地土地のさまざまな文化・習慣が混ざりあい、民俗色が取り入れられ、観光的なイベントとなり、各地でオリジナリティ溢れるカーニバルが開催されている。リオのカーニバルならサンバ、バイーア(ブラジル)はディープなアフリカ色が色濃く残り・・・などなど。で、トリニダードのカーニバルで有名なのが、ド派手は仮装(マスカレード、通称マス)と、打楽器のパン。

マスはタダの仮装じゃない。紅白の小林幸子or美川憲一もビックリな、巨大衣装なの。横は道幅いっぱい、上は電線に引っかかる?ってくらいに大きい。これを着て、町をパレードするんだから恐れ入ります。
わたしたちが着たカーニバルの衣装は、チームのユニフォームのようなもの。これは、マスとは呼びません。マスの写真

パンは、食べるパンじゃなくて(さむい)、日本では一般的にはスティール・ドラムという名前で通ってる。もともとは楽器が買えない貧しい人々が、ドラム缶を改造して打楽器を作ったのがはじまり。

打つ面に凹凸を作り、ここを叩くとFの音、隣りはC、その隣りはG・・・という具合に音階があって、メロディを奏でる。高音担当、低音担当など、パンにはさまざまな種類がある。演奏者は、いくつものパンに囲まれるようにして立ち、あっちこっちのパンを叩きまくったりする。しかも、パンはチームで演奏するのが基本なので、何十人、ときには100人ものメンバーが、一斉にパンを叩く光景は、圧巻、スペクタクルもの!!! パンを叩いている写真

そして忘れちゃいけないカーニバルの音楽。トリニダードの伝統的な音楽といえば、カリプソ。約40年前にハリー・ベラフォンテが歌った『バナナ・ボート』は、世界中でブームを巻き起こしました。「イデデ、イデデ、イデデ・・・」というサビが印象的なこの曲は、何年か前、野茂が出演したコマーシャルや、ウィノナ・ライダーが主演した映画『ビートル・ジュース』でも使われてました。

月日は流れ、70〜80年代にかけて、カリプソはソウル・ミュージックと合体し、「ソカ」が生まれる。その後、ビートと低音がどんどん強調され、最近のソカは、もう血管切れそうな爆走パワー。

カーニバルは4日間と最初に書いたけど、準備は前年の夏から始まる。ストリート・パレードの衣装は、8月に購入したくらいだからね。で、年が明けると、一気にカーニバルムードが高まり、さあ、突入! 手元のカーニバル・スケジュールを見ると、2月初旬から怒涛のごとくイベントが列挙されている。

で、「ジョウベ(J'Ouvert)」というイベントは、カーニバルの大本番、最後の2日間が始まる朝4時から行われる打楽器コンペティション。クルマの荷台にドラム、コンガなどを積んで、演奏しながら、町中をパレードしてまわる。コンペティションのメンバーじゃなくても、パレードに参加できる。ただ、このときはカーニバルの衣装はつけない。というのも、参加者たちは、水性ペンキを投げ合い、ドロドロになるんだわ。ドロドロの写真

ちなみに、J'Ouvertは、フランス語で、オープン・デイという意味。カーニバルの始まりを告げるわけね。トリニダードは英国の支配下にあった時期が長かったけど、フランスやスペインの植民地だった時期もあり、パトワと呼ばれるフランス古語が残っています。ただ、若い世代は、もうほとんど話せないみたいね。

カーニバルの説明が長くなっちゃったけど、到着した日の夜、ソフィアといっしょに見に行ったのが、このジョウベの練習。ソフィアはメンバーとして参加するという。ここで、カーニバルを共にすることになる彼女のともだち、クリストファー、アン・マリー、イーアン、マリアに初めて会いました。飲んで、踊り、踊っては飲んで・・・を繰り返し。カウベルを叩かせもらったりしたひにゃ、完全燃焼?! 

その後、「パン・ヤード」に行き、パン・コンペティションに参加するInvadersというチームの練習風景を見た。ここでもビールを飲み、ヘロヘロになってたら、見知らぬ女性が近づいてきて、「日本人のパン・プレイヤーがいるわよ」と教えてくれた。

Yukoさんという日本人女性は、アメリカ在住。本業はピアノだが、招待されて9ベースというパンを演奏しているという。で、彼女の演奏がすっごい迫力。あっちのパン、こっちのパンと体ごと移動して、叩きまくる。これってスポーツだわ。ドワン、ドワンという低音が、見てるわたしたちの体を揺らす。ともだちのイーアンは、彼女の演奏を見て、感銘してたっけ。だって、ホントに上手なんだもん。

大人数のパン演奏もまた、すごい迫力。圧倒され、熱くなる。いやいや、お楽しみは、まだまだこれから。それにしても、いったい何本ビール飲んだんだろう??? ちょいと記憶があやふや・・・。


追記:Yukoさんとは、連絡先を交換できませんでした。Yukoさん、もしこのサイト見てたら、メールくださいね!


関連リンク この晩の写真 



注1 ローティ〜トリニダード・トバゴやガイアナの名物、インド系の食べ物。とうもろこしで出来た薄い生地の上に、レンティル(レンズマメ)を砕いて粉状にしたものをしきつめ、その上にもう1枚生地を敷く。その上にチキン、野菜、ビーフ、シュリンプなどの具を置き、風呂敷状態で包み込む。うまい! が、デカい。わたしでさえ、ミニを頼まないと、食べきれなかった。

 


Copy Right (C) Emico Meguro All Rights Reserved.