<到着2日め>
すでに昼夜は逆転状態となり、昼間はのんびり、夜遊ぶ・・・という生活パターンになっていた。というわけで、今日は日本食大会。日本食はソフィアの大好物なのだ。荷物の半分は日本食(ウソ)っていうくらい大量に買いこんで、トリニダードに乗り込んだわけ。
しかし伏兵がいた。それは、長粒米。汁かけご飯向きなので、のり巻き作ろうとしても、パサパサとこぼれ落ちる。さすが日本食好きなソフィア、(相当旧式だったけど)炊飯器を持ってたのは助かった。が、まな板がなかった。ひ弱なのり巻きさんは、タオルの上で、しんなり体をくねらせ、うまく切れないんだ、これが・・・。ただでさえ、料理、上手じゃないのに。
長粒米でのり巻きを作る基本は、ご飯炊くときに、水の量を思いっきり増やすことです。あと、彼女が使ってたお醤油は、中華系の濃い口だった。あっさり酢の物とかしたければ、日本の減塩醤油を持ってたほうがいいよね。悪戦苦闘後に出来あがった日本食を前に、上機嫌なソフィア
昼のメニューは、かんぴょう巻き、錦糸玉子+でんぶ巻き、しじみ汁、そして増えるわかめちゃんに白胡麻とかつおぶしをかけた、超カンタンな一品。夜は、手巻きにしました。こんなシンプルなメニューなのに、涙を流さんばかりに喜ばれ、中でも「ふえるわかめちゃん」は、申し訳ないほど感激しながら食べてくれました。
海辺の魚屋さんに行って、白身の魚を選んではきた。魚屋のおにいさんは、見事な手つきで三枚におろしてもくれた。でも、生食しない国だし、魚の色もいまいちだったし、魚屋さんの衛生状態も見ちゃったし・・・。お魚は冷蔵庫で眠ることになった。
夕食後は、昨日と同じコースをたどった。「ジョウベ(J'Ouvert)」に参加するバンドの練習を見ながら、飲んで、踊って、騒いでから、パンヤードに行った。
<到着3日め>
今日は朝からトリニダード料理。ブラックプディングなるものをいただく。プディングとは名ばかりで、その正体は「血肉ソーセージ」。たまねぎと炒めて、食べた。貧血なんて一発で治りそう。血の量がけっこう多く、チョリソよりもずーっと濃いぃお味で、色も濃い。(*注1) 朝からこれ食べるって、けっこうすごい・・・。
朝食後、日焼けの準備を兼ねて、お庭でエクササイズ。太陽の下、ボクシング系の動きをしたら、自分でもビックリするほど燃えた。毎晩、踊ってはいるものの、有酸素運動が足りてなかったのね。それとも、ブラックプディングの効果か? 台所でお皿を洗ってたソフィアは、燃えたぎるわたしを小窓から垣間見てて、密かに!マーク状態になってたらしい。
午後は町へ。ソフィアは用事があったので、ひとりでお散歩。下町には、地の底から湧き上がってくるようなプリミティブなエネルギーと熱気が渦巻いてた。アップタウンや、高級住宅地にはないもの。
血管切れそうなビートとベースが疾走するようなソカがあちこちから聞こえてくるから? カーニバルのフェロモンが人々の体から発散され、気体になって空気を濃くしているから? 7年前、初めてここに来たとき通ったストリートをなぞるように歩いた。クルマのウィンドウを通さずに見る下町、計り知れないパワーを浴びながら・・・。
夕方、ソフィアとデーモンと落ち合い、ショッピング・モールへ。マックやケンタがあって、駐車場には新車が多い。ほんの数キロしか離れてないのに、ディメンション・トリップしちゃったみたい。
*ここでおともだち紹介*
ソフィア 今回のカーニバルに誘ってくれたメル友。ベネズエラ人で、結婚後、トリニダード・トバゴに住んでいる。
デーモン ソフィアの旦那。トリニダード人。
アン・マリー ソフィアの同僚。トリニダード人、
イーアン アン・マリーの旦那。トリニダード人。
クリストファー デーモンの同僚。ベネズエラ人。
マリア スペイン語の先生をしているベネズエラ人。踊る腰つきが強烈にセクシー。
彼らの写真を見る
夜の部。今日は「ジョウベ(J'Ouvert)」の練習はお休みだったので、マス(仮装)大会を見に行ったら、キングとクイーンを選ぶセミ・ファイナルが行われていた。会場に入るチケットは持っていなかったので、隙間から覗いたり、待機してるマスを見たり・・・。巨大なマスが夜のステージで、音楽に合わせて動く様は、ホントに圧巻。
特にひとつすっごいのがあった。花火炸裂、電飾キラキラ、オペラ風のイントロから爆走ソカへとつなぐ音楽の使い方など、演出もうまい。高さも幅も10メートルはあろうかという迫力のマスで、優勝は決まりでしょう!って、(わたしたちの間では)意見が一致したけど、実際はどうだったのかな。
その後、会場の外の出店で、ビール、ビール、ビールとなりました。これが後になって、とんでもないアクシデントを呼ぶことになるのも、知らずに・・・。
ビールを飲み続けてたら、時はすでに朝の3時。お腹が空いたので、クリストファーのクルマで、セント・ジェームスという地域に向かった。この時間に開いてるお店は、このあたりにしかないんだそう。
セント・ジェームスに近づくと、同じことを考えてる人たちのクルマで、道は大渋滞。すっぽりハマった。そしてわたしは・・・もう我慢ができなくなっていた。
「もう我慢できない」
「ボクの新車のなかで、絶対しちゃイヤだよ」
しばし言葉を失った後で、クリストファーは引き攣りながら、ようやく言った。
「じゃ、あそこのバーでしてくる」
ドアを閉めるのもそこそこに、わたしはひとりで飛び出した。忘れもしない、"Smokey
& Budget"というその店に入ると、酔っ払いたちを突き飛ばすようにして、奥のお手洗いへと突進した。が、長蛇の列・・・。
「もう我慢できない」
「じゃ、男性トイレに入っちゃおうか」
見知らぬ若い女のコと一致団結し、さらに何人かの女のコも加わって、いざ男性トイレへ。溝型だった。
溝を仕切る段の上に乗り、ふんばった。でも、これだけ我慢してると、サッと出てくれないんだよね。体質が違うのか、彼女はすぐに済ませて、"I'm
Fresh!!!!!!!!"と言いながら、出ていった。
格闘する間、何人もの男たちが入ってきては、"Oh
My God"と言いつつ、目を覆い(指の隙間からしっかり見てたはず)、出ていった。
しかし兵が来た。ラスタな彼は、「オレは気にしねえ! オシッコしてやるぜ、ベイビー」とか何とか叫びながら、隣りで始めたため、あえなく撤退。
元の列に戻った。し終わった女のコたちは、口々に"I'm Fresh!!!!!!!!"と言いながら、去っていく。極限の足音が聞こえてきたとき、カラダが動いた。
前にいた、ノリのいい女のコと踊り始めた。彼女は「褐色の肉弾系」。おヘソのあたりに気持ちよさそうな弾力があって、肌がスベスベしててなめらかで、ダイレクトにそそる腰つき。「今すぐ行こうぜ!」な、彼女の腰の振動を目の当たりにしながら、自分もフリフリしてみた。まだ理性は残ってて、「こんなに振ったら、もっとしたくなっちゃうんじゃないか」って思ったりもした。
でも、極限で止まった。っていうか、維持した。オシッコの衝動は、高揚した気分に変わり、エクスタシーみたいな、変な感覚がきた。あれともこれとも違う、未知のエクスタシー・・・なんちゃって。
そんなことしているうちに、ほどなく順番が来た。手間取ってると、外からガン!と一発ノックされた。
スッキリして外に出ると、ソフィアとアン・マリーが待っていた。顔に「心配」と書いてありました。
その後、"Royal Castle"っていうファースト・フードで食事した。ケンタのトリニダード版ね。トリニダードはインド系多いから、やっぱビーフよりチキン。"Royal Castle"はあっちこっちにあって、マックよりもずっと目についた。お店を出るとき、念のため、もう一回しといたほうがいいかなって、お手洗い覗いたら、カオスで、とてもできるような状態じゃなかったっけ。
後になって知ったんだけど、セント・ジェームスは、あんまり治安のいいところじゃないんだってね。ハイだったし、ビール飲んでたし、あんまりよく覚えてないんだけど、確かに騒然とした雰囲気はあったような・・・。家に着いたら、鶏が鳴いた。
関連リンク 写真を見る カーニバルのスケジュールと用語の説明
注1 ブラックプディング〜ネットでちょっと調べてみたら、ルーツはやっぱり元宗主国イギリス。スコットランドやアイルランドでも食されているという。「血だけで固めたソーセージ」って説もあるし、「黒腸詰」っていう訳もあった。
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