ホーム音楽・映画系 ラテンもの インデックス黒猫・白猫

11/7/1999+4/1/2000
黒猫・白猫 ラテンなユーゴスラビア映画
1998年 フランス=ドイツ=ユーゴ合作 ユーゴスラビア映画 (原題 BLACK CAT, WHITE CAT)

新聞の映画批評欄を読んで、「求めていた映画はこれ!」と叫んでから早や数ヶ月…。公開終了の日に、『黒猫・白猫』を見に行った。

サラエヴォ近くのドナウ川のほとりに生きるジプシーたちの人間模様を、ドタバタ喜劇テイストで描いたこの作品は、「あっぱれ!」の一言、見事な人生賛歌なの。近ごろ世の中がどんどん複雑になってきて、生きることもややこしくなってきてる。「そうじゃないよ、生きるって、楽しくて、喜びで、もっとシンプルなものなんだ!」って、教えてくれる映画がこれ。

主人公のマトゥコは間抜けなペテン師。だますつもりがいつもだまされ、ギャンブルやっても負けてばかり。そんな彼が大きなヤマに手を出すが、成り上がりマフィアのダダンに、まんまとハメられてしまう。

ダダンは密輸で大儲け、女をはべらせ、大盤振る舞いな毎日を送っているが、そんな彼にも弱みがある。それは3人の妹のうちの1人がまだ結婚してないこと。昔ながらの規律を大切にする「彼のモラル」では、これは非常に大きな恥なのだ!

代償にマトゥコの息子ザーレを、妹の婿として献上するよう要求するダダン。でもザーレには憧れの年上の女性がいて、ああそれなのに、運命の結婚式は間近に迫る…。

ストーリーは単純だけど、出演者たちは稀にみる個性派揃い! っていうのも、主役級でプロの俳優はわずかに3人。あとは素人なんだそうだ。でも彼らのエネルギーのすごいこと! 前代未聞で、爆発的で、それでいて深い味わいがある。演出や脚本を超越して、天性のままで充分に役者なんだわ。圧倒された…。

そんな出演者たちを仕切ったのは、『アンダーグラウンド』(1995)でカンヌ映画祭大賞を受賞したエミール・クリトリッツァ監督。『アンダーグラウンド』発表後、政治的なしがらみに巻き込まれ、一度は引退を決意したが、この『黒猫・白猫』で見事に復活した。

主人公たちがジプシーってこともあって、ユーゴスラヴィア映画だけど、感覚としてはとってもラテンに近い(彼らが喋る言葉も、スペイン語に似た単語がたくさん出てくるし…)。その日、その日を楽しく生きて、明日になったら過去はみんな忘れて、また楽しく生きる、そういう刹那の繰り返し。そして、どこからともなく、テレノベラの香りが…漂ってくる。

主人公たちのひとり、無理矢理結婚させられそうになる若者ザーレ(フロリアン・アイディーニ)は、キアヌ・リーブス系でけっこうカッコいい。名字からするとイタリア系? ユーゴとイタリアって、隣り同士なんだよね。で、彼が憧れる年上の女性イダ(ブランカ・カティチ)は、やや北欧系でエキゾチックな顔立ち。雰囲気は村上里佳子っぽくて、かなり好み。映画全体のパワーもすごいけど、登場人物たちもとっても魅力的で、ホントおすすめ!ビデオも発売されてます。

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主人公のカップル
主人公のカップル
右 ザーレ(フロリアン・アイディーニ)
左 イダ(ブランカ・カティチ)


ハチャメチャな結婚式
ハチャメチャな結婚式


みんな生き生きしてる
生き生きした表情は、演技を超越!


密輸で大儲けした ダダン
密輸で大儲けしたダダン


ゴッドファーザー
ジプシーマフィアのドン、カサブランカのボギーにあこがれる、ゴッドファーザー!?
関連リンク テレノベラ 


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