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ここから思い込み系なつぶやき

批評でよく使われてるのは、キューバ音楽の重鎮でありながら、何十年も不遇で靴磨きなどしていたが、ライ・クーダーに見出され表舞台に復活・・・っていうエピソード。映画紹介にはポイントが必要だから、こういう美談的なものがフューチャーされるんだろうけど、これってアメリカのプロパガンダって感じがしちゃう。このまま社会主義やってても、豊かにはなれないし、音楽だってできないんだって。さらに勘繰っちゃえば、脚光を浴びさせて差し上げたっていう奢りが見え隠れ???

たとえば、老ミュージシャンたちがはしゃぎながらニューヨークを歩くシーン。「こんなにきれいな街がこの世の中にあったなんて・・・」。彼らのセリフは心の底から洩れてくるだけに、ずっしり重い。ハバナの街はどうだっただろう。かつては「カリブ海の真珠」と呼ばれ、世界遺産にもなってるけれど、崩れ落ちた壁を修理するお金がない。昔の栄華をしのばせる、ペンキが剥がれ落ちたコロニアル様式の街並を背景に、大道芸よろしくドラム缶をまわす少年がいる。エネルギー不足のため、普通のバスの3倍ほどの長さがある「ラクダバス」が走る。

キューバに暮らす素朴な人々の生活を垣間見て、人生で大切なのはお金じゃないと思う。でも普通のキューバ人は<月に10ドルちょっと>しか稼げない。どんなに危険か十分わかっていても、フロリダの岸に流れつこうと手作りのイカダで漕ぎだす密航者は跡を絶たない。ここ数年、ドルを手に入れるキューバ人が増えてきて貧富の差が拡大してしまった。コソ泥くんも増えているらしい。お金は大切だ。

所詮はないものねだりなのだろう。資本主義の国に暮らし、欲しいものは一通り手に入れ、テクノロジーの大進歩の恩恵に授かった。でもその代償として失ってしまった「こころ」を求め、素朴な暮らしをうらやんでいる。

最近は野球の試合をしたり、キューバ人ミュージシャンがアメリカでコンサートをしたり、文化的交流を少しづつ深めているけれど、アメリカがキューバに対して経済制裁を発令してから、もう40年…。たくさんの人々が、こんな制裁は意味がないと考えているけど、政治的な絡みがあって制裁は終わることがない。選挙のため、反カストロ系キューバ移民の支持票が必要だ。だから制裁は解除できない。選挙が終わっても、解除できない理由はいくらでも見つかる。

だけどこの映画がすごいのは、主義も主張も政治も関係ない。「物事の捉え方」なんてどうでもいい。生きている自分たちがいる。いい音楽があって、いい人間がいて、ラムがある。すばらしいことじゃないか! そんな老ミュージシャンたちの、生きる喜びが画面から溢れていること。そして異邦人であるライ・クーダー親子の、キューバ音楽とキューバ人に対する愛情がヒシヒシ伝わってくること。国と国がどんな関係でも、人と人は繋がるんだって、そういうところから始めていけばいいんだって、自然体で示してくれる。 そして感動のラストシーンへと続いていく・・・。

それにしてもライ・クーダーの息子のヨアキムって、ゲバラに似てる・・・。お母さん、ラテン系かしら???

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