ホーム

7/2/2000

映画祭に行ってきた スペシャル

このところ、テレノベラばっかり見てて映画不足気味。いい機会なので、いろいろ見て来ました。特にフランス映画祭は、絶品揃い。パシフィコ横浜は遠かったけど、行ってよかった!

第8回フランス映画祭横浜 2000 6月22日(木)〜25日(日)会場:パシフィコ横浜

パリの確率
 PEUT-ETRE 1999年 109分
2070年のパリは、砂に埋もれた砂漠になる?!
盛り上がるミレニアム・パーティ、主人公のアルトゥールはひょんなことから未来への入口を発見する。未来は意外にも退化した世界、砂に埋もれたパリを、ロバ・タクシーが走っていたのだ! そこで彼は、老人になった彼の息子と会う。「どうか今日、恋人と子供を作ってほしい。さもないと私たちは消えてしまう」。懇願する老人とその一族。しかし彼は子供を作る気は、サラサラなかった・・・。

監督 セドリック・クラピッシュ
『家族の気分』『猫が行方不明』『青春シンドローム』『百貨店大百科』
出演 ジャン=ポール・ベルモンド、ロマン・デュリス、ジェラルディン・ペラス

クラピッシュ監督は、普通の人々の普通の生活を、ユーモア+ペーソス効かせて描き続けてきた。日常の些細な出来事、その奥に潜む感情のもつれ、悲喜こもごもが交錯する人生のおかしさ、よろこび、そして虚しさ・・・。そんな彼が、SF映画を撮った!? でもハリウッド映画とは、100味違う。長いものに巻かれない彼の『未来』では、文明の利器は風化し、人々は太古のような生活を営んでいる。パソコンのディスプレイは階段の替わりに使われ、登場するのは3世代が同居する大家族。さて「退化」することの意味はなに?

舞台は未来に移っても、クラピッシュ監督のユーモアは健在。(フランス的な)ムフフな笑いが、そちこちに散りばめられてます。主演のロマン・デュリスは抱きしめたくなるほどかわいくセクシーだし(ただ彼って、長髪のほうが似合う)、彼の恋人役ジェラルディン・ペラスの色香もステキ。そして印象的なのは、砂に埋もれるパリの風景。 クラピッシュ的な近未来は、今までの「SFのイメージ」をすべて覆してくれました。あれってセット? お金かかってる! ロマン・デュリスが来日してくれなかったのは、返す返すも残念だけど、これはぜったい!見る価値がある映画、覚えておいてね。

追記 01/17/2001 この映画は、2000年12月8日から、恵比寿ガーデンシネマで一般公開されました。でもあまり話題になることなく、1か月で公開終了。プロモーションが足りなかったのか、「ハリウッド的」じゃないからなのか、それともITな今の日本に合わなかったのか・・・。残念!


他人の味 LE GOUT DES AUTRES 2000年 112分 
(日本での一般公開タイトルは、『ムッシュ・カステラの恋』

New! 07/08/2002
いよいよビデオ発売! 見逃しちゃったひと、ぜひ見てみてね! おすすめ!!!


フランスでウルトラ・ヒット! どこまでもフランスらしいコメディ。
保険会社の提案で期間限定のボディガードと契約した会社社長のカステラ。絡みあう人間模様は、そこから始まった。潮時を迎えた舞台女優(兼英会話講師)と知り合い、眠っていたアート心が呼びさまされる社長。人間関係を避け、ペットとの世界に逃げ込む社長の妻。ボディガードのひとりは、昔寝た女性と寄りを戻すことで、何かが変わる。酒場に勤めるその女性は、ヤクの売人であり、舞台女優のともだち。そして、彼女たちの芸術仲間のゲイのカップルは、社長の工場の壁画を作成することになる・・・。エスプリ効かせて、普通の世界に生きる、さまざまなタイプの人間が持つ裏と底の感情を掘り下げる快心の逸品!

監督 アニエス・ジャウィ(初監督作品)
ジャン=ピエール・バクリとの共同脚本で、『家族の気分』など作品多数。
出演 アンヌ・アルヴァロ、ジャン=ピエール・バクリ、ブリジット・カティヨン、アニエス・ジャウィなど

ゲストとして来日したアニエス・ジャウィのカリスマ!は圧倒的。知性、教養、ユーモア、そして表現力。あまりの迫力に唾を飲むのも忘れてた。フランスの底力でございます。彼女によると、登場人物は身のまわりにいる人々がモデルなんだそうだ。まわりを見渡してみると、そうそう、いるいる。っていうか、自分自身がモデルかも?

11/26/2001 朝日新聞の批評記事+監督インタビュー(11/24夕刊)より
大人の愛・日常 淡々と 仏ジャウイ監督「ムッシュ・カステラの恋」 ハリウッドに「手工芸」で対抗
(以下、抜粋)

「平凡さこそ私たちが関心を抱く領域です。主人公が大活躍する壮大な物語を撮りたいとは思わない。だって、現実の社会はそんなものではないから」

ジャウイは女優として出発。脚本家、監督へと幅を広げたのは「受け身で配役を引き受けるだけでなく、自ら思考する自由を得たいと思ったから」と打ち明ける。「望むものを書いて、俳優を選ぶことができる。この今の自由を、これからも維持していきたい」

それだけに、巨大産業と化した米映画については批判的だ。「多くは型どおりの人物が登場するだけ。米国ではむしろ、テレビドラマに佳作が多い」

この作品が米映画祭にノミネートされ渡米、現地の事情を見てさらに危機感を強めた。
「アメリカの人たちはアメリカの映画しか見る機会を与えられていない。これは非常に危険です。他の文化を知らず、その結果自分の文化だけが優れていると信じ込むのは、極端に言えば戦前のナチスにも見られた傾向ですから」。

関連リンク この映画と共通項多し、ジャウィが脚本を書いた 家族の気分

ブッシュ・ド・ノエル
LA BUCHE 1999年 106分
シャルロット・ゲインズブール、登場!
性格も生き方も異なる3姉妹、その母、離婚した父、父の隠し子を軸に描かれる人間模様。毎年、クリスマスに集まる家族たち。実は他人に言えない悩みや秘密、過去を抱え込んでいる。家庭崩壊の危機を必死に隠す完全主義者の次女。見栄っ張りな次女に反発する三女(シャルロット・ゲインズブール)は、母の秘密を知っている。ロシア民謡歌手の長女は、10年来の不倫相手の子供を妊娠してしまい、子供を産む最後のチャンスに揺れる。そして明らかになる父の秘密・・・。

監督 ダニエル・トンプソン(初監督作品)
脚本家として、ソフィー・マルソー主演の『ラ・ブーム』『王妃マルゴ』など多数。
出演 サビーヌ・アゼマ、エマニュエル・ベアール、シャルロット・ゲインズブールなど

今から10数年前、ロリータ・ブームを炸裂させたころを知ってる人にとって、シャルロット・ゲインズブールは特別な存在。薄い透明なガラスのように繊細でシャイ、かつ小悪魔的。セルジュ・ゲインズブールとジェーン・バーキンの娘という家柄?も手伝って、シャルロット伝説は仕上がった。
今回の来日ゲストのなかでも、ダントツで拍手喝采量が多かった彼女。女性ファンも盛だくさんでした。感心したのは、今年29歳になる彼女の形容しがたい透明感、他人の侵入を許さないであろう気高さ、そして凛とした立ち姿・・・。独特の雰囲気は、現在へ至っています。

さて、この映画も、軽快な会話、キツいユーモア、結末の?性など、非常にフランス的。もちろん役者陣も粒ぞろい!

追記 01/17/2001 
この映画は、2000年11月11日から、池袋シネマロサで一般公開されました。でも、シャルロット・ゲインズブール主演にもかかわらず、あんまり話題にならなかった。人間模様を描くフランス的映画って、ウケないのかなあ。いまって、考える映画より、炸裂する映画だもんね。


ポルトガル映画祭 2000 6月5日(日)〜11日(日)会場:東京・六本木 オリベホール
パウロ・ブランコが製作した、1990年代のポルトガル映画の秀作9本を一挙上映! ブランコはポルトガル人プロデューサー。ヴィム・ベンダースら著名監督の作品を製作するなど、ヨーロッパを舞台に活躍しているんだそう。

二十歳の試練〜四元素シリーズ「火」
ベアトリスとアルマンドは、仲のよい双子の兄妹。いっしょに住み、同じ消防署に勤務している。ふたりは新人の消防士なのね。でもアルマンドが近所の年上の女性に誘惑されるようになって、兄妹の関係に微妙な変化が起こる。恋人ができた兄へに対する複雑な想いが、幻聴を生み、さらに高まる感情を抑えきれなくなってキレる・・・んじゃなくて、妹が「キス魔」に変身する! シュールでコミカルな、約1時間の短編青春映画。ベアトリス役の女のコ、羽野晶紀によ〜く似てました。

僕の誕生日〜四元素シリーズ「空気」
服役中の夫の帰りを待つ家族、妻の浮気が原因で喧嘩が絶えない隣人の夫婦。それぞれの日常を、オムニバス形式で描く。服役中の夫と妻の過去と現在、7歳になる飛行機好きの息子、妻の浮気に不安を抱きつつ、また空へと旅立っていくパイロットの隣人・・・。リスボンの風景が印象的な、これも約1時間の短編映画。

ずっと思い起こしているんだけど、ポルトガル映画を見た記憶は出てこない。巨匠マノエル・デ・オリヴェリラ監督(90歳!)の『アブラハム渓谷』は、話題になったけど、見てなかったし・・・。

初めてのポルトガル映画なのに、妙に懐かしい。そういえば、リスボンに行ったときも、初めてなのに懐かしかったっけ。これが「サウダージ(郷愁)」なのかも??? それとも、教科書に出て来たザビエルの国だから???

どちらの作品も淡々としてて、スペクタクルはない。でもトリップ感がある。映画を見終ったら、すっかりヨーロッパ帰り気分。それもとってもリアルな・・・。知り合いの日常を映画的なエッセンスを加えて、覗き見しちゃったような感覚。

この映画祭の目玉、オリヴェイラ監督の『クレーブの奥方』は、時間があわなくて見れなかった。マルチェロ・マストロヤンニの娘、キアラ・マストロヤンニが、絶品だそうです。一般公開は、2001年新春になるらしい。絶対チェックしなくちゃ。


アニエスb.は映画が大好き パート2 5月1日(月)〜5月7日(日)会場:青山スパイラル・ホール

新しい肌
PEAU NEUVE 1999年 96分
テレビゲームのテスターをやってる男性が、日常に物足りないものを感じ、仕事を辞め、ブルドーザーの運転手になるための研修を受ける。研修は寮生活、その隙に妻は浮気し、彼自身は落ちこぼれの男性の同僚に心曳かれていく・・・。アニエスb.が製作に参加。

監督 エミリー・ドゥルーズ
1999年カンヌ映画祭映画批評家連盟賞受賞

このイベントは、8月24〜25日 高知県立美術館、9月1〜12日 広島映像文化ライブラリーでも行われます。

 

旅行して、どんな人たちと会った? どんな体験をした? 何を感じた?
http://www.page.sannet.ne.jp/megmeg/index.html
Copy Right (C) 1997-2000 Emico Meguro All Rights Reserved.
映画祭に行ってきた!スペシャル