ホーム音楽・映画系 ラテンもの インデックス FITO PAEZ
12/27/1999
アルゼンチンのBEN FOLDS 5 !?
センチメンタルなポップ・ロックならまかせろ! FITO PAEZ


中南米の音楽っていうと、サルサにメレンゲ、ラテン・ヒップホップなど、踊れる系がとっても盛ん。でもアルゼンチンやメキシコでは、カッコいいロックバンドも活躍してて、輸入盤屋では、ミクスチャー系やヘヴィーなものがよく紹介されてます。既存のロックを聴きつくしちゃったマニアなんかには、涎ものらしい。アンダーグラウンドで、洗練されて"いない"うねうねした音に、妙にそそられちゃうのね。アルゼンチン・ロックで(国際的に)有名なのは、ミクスチャー系スカ・バンド"LOS FABULOSOS CADILLACS"かな。彼らは(確か)グラミー賞のラテンロック部門で賞もとりました。

で、アルゼンチンといえば、FITO PAEZ! 彼の音の世界の基本は、メロディアスでポップなロック。ちょっとセンチメンタルで、バラードも絶品! メロディの流れには、ビートルズやエルトン・ジョンの影響を感じちゃうけど、雰囲気はBEN FOLDS 5がスペイン語で歌ってる感じに近い。(やや)中性的な声で歌うピアニストなのね。しかもヨーロッパとタンゴの香りが、ちりばめられてる・・・。

アルゼンチンに行ったとき、勧められて買ったのが、CD "EL AMOR DESPUES DEL AMOR"。聴くと、ブエノス・アイレスのいろーんなシーンが走馬灯状態で頭のなかを駆け巡る。暮れていくブエノス・アイレスのビルの影、俯瞰で見下ろしたオープン・カフェを埋めつくす白い大きなパラソルたち、オペラハウスの前の広い空間、交差点にある古びたカフェ・・・。ブエノス・アイレスは、ヒミツの思い出がある世界中でいちばん好きな街。で、この "EL AMOR DESPUES DEL AMOR" はブエノス・アイレスに対する思い入れと、ガシッと重なる思い出の1枚…なの。

それはともかく、このアルバムには、数々の名曲が収められていて、思い入れを抜きにしても、完成度は非常に高い。特に "UN VESTIDO Y UN AMOR" は、ブラジルの大御所カエターノ・ヴェローソもカバーしてるバラードの名曲。自分を捨てて、マドリードへ旅立っちゃった彼女への想いを、切なく歌い上げてます。涙もの…。スペインの有名女性歌手アナ・ベレンとデュエットとしてるバージョンもあるけど、オリジナルのほうが好き。あと"PETALO DE SAL" って曲も泣けます。

彼は1963年生まれ。大歌手チャーリー・ガルシアに見出され、1984年、ソロとしてデビュー、すでにアルゼンチンのロック界では重鎮の域に入ってる。去年はスペインのJOAQUIN SABINAとコラボレートしたアルバムを発表し、今年は彼名義のニューアルバム "ABRE"を出した。精力的に活動・・・って言いたいところだけど、2枚とも・・・な出来。特に"ABRE"はアルゼンチン盤で、(1枚組で)4000円近くしたこともあって、ショックは大きい!!!

「彼はもういい音楽を作れなくなっちゃったんだ。理由?お金に興味が出てきたからさ」。そう言ったアルゼンチン人もいた。確かにこの2枚のアルバム聴いちゃうと、この言葉は否めない。でもまだ「次ごそは!」って思いがある。彼の新しい「泣かしてくれる曲」と出会うそのときを待つの・・・。

俳優としては、映画『ラテンアメリカ 光と影の詩』(日本公開 1995年)に出演。彼の役どころは主人公の友人の不良少年役。アルゼンチンの南の果ての町、ウスアイアを飛び出し、ブエノス・アイレスを目指すミュージシャン志望の少年なの。ロサリオ出身、音楽で身を立てようと、10代でブエノス・アイレスをめざした過去の彼とリンクしてる役なのね。で、彼が歌うこの映画の主題歌 "USHUAIA" はまたまた泣ける名曲です。幻想的で…。


フィト・パエス写真 元プリに似てる

フィト・パエス写真2
元プリに似てる・・・。

<お薦めCD>

-EL AMOR DESPUES DEL AMOR- ジャケ写真"EL AMOR DESPUES DEL AMOR" (1992)
初めて聴いた彼のCDがこれ! 涙ものです。タンゴの香り漂う"PETALO DE SAL"、絶品のバラード"UN VESTIDO Y UN AMOR"、そしてロック系の"A RODAR LA VIDA"もカッコいい!





-CIRCO BEAT- ジャケ写真"CIRCO BEAT"(1994)
"MARIPOSA TECKNICOLOR" "EL JARDIN DONDE VUELAN LOS MARES"など、ミディアム・テンポのロックがいい! アルバム全体の完成度も高い。





-TERCER MUNDO- ジャケ写真"TERCER MUNDO"(1990)
“FUE AMOR" "B-ODE Y EVELYN" "Y DALE ALEGRIA A MI CORAZON" など、彼らしいメロディ進行の曲がてんこ盛り! 90年代の彼はここから始まった。





-ラテンアメリカ 光と影の詩- サントラのジャケ写真『ラテンアメリカ 光と影の詩』(1995)
日本でも大ブームになった前衛系タンゴ ピアソラの曲を含むサントラ盤。フィト・パエスはこの映画に出演し、監督フェルナンド・E・ソラナスが作った名曲 "USHUAIA" を歌っています。この曲、ホントにすばらしいバラード・・・。でも、廃盤っぽい。HMVのサイトで検索しても、ヒットするのは映画のビデオだけ。




関連リンク ラテンアメリカ 光と影の詩

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