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12/27/1999 |
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ラテンアメリカ 光と影の詩 1992年 アルゼンチン=フランス合作 (原題 EL VIAJE) |
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<物語> 広大な大地が果てしなくひろがるパタゴニア、洪水に見舞われた首都ブエノス・アイレス、現代の奴隷労働を思わせるブラジルの鉱山・・・。彼の行く手には南アメリカのすばらしい、しかし過酷な自然があり、その土地で生きる人々がいる。またラテンアメリカの国々が抱える厳しい現実と政治的混沌を目の当たりにすることになるのだ。旅は少年を大人の男へと成長させ、そしてついに実父との再会のときが来たのだが・・・。 <ちょっと難解なロードムービー> 「失われた10年」と呼ばれ、債務とインフレにあえいだ80年代が終わり、「比較的安定」していると言われているラテンアメリカの国々。でも彼らが抱えるさまざまな問題は根が深い。政治腐敗、政治不信、持つ者と持たざる者の大きな経済格差、終わらないゲリラ抗争。スペインに征服された「新大陸」は、500年たった現在も出口を見つけられずにあえいでいる。そして新たに加わった「環境破壊」という大きな問題・・・。 水びたしになるブエノス・アイレス、足ヒレをつけた「カエル」という名の大統領、荒廃する学校、壁をすべり落ちる偉人の肖像画、傾く島、駆け巡る「収税トラック」・・・。この映画は、さまざまなメタファーを使って、「本来、あるべき姿にない」ラテンアメリカの混沌を表現している。 首都が水びたしになっても平然としている市民は、汚職や政治腐敗など、「あってはならないこと」に慣れきってしまった彼らを比喩しているのだろうし、原始的な方法で進もうとするボートは、ラテンアメリカの象徴なのかもしれない。そして時折現れる赤い服の少女は、幻想、それとも希望? 観念的なメタファーが映画のいたるところに存在していて、ラテンアメリカの映画や文学によく見られる、現実と幻想が混ざりあう「魔術的リアリズム」の手法も取り入れられてるもんだから、(かなり)難解だったりもする。全編にわたって少年が求め続ける「実父」という存在は、少年にとって「手に入れることができない真実」を意味していたのか、それとも「ラテンアメリカの統合」を意味していたのか・・・。 ま、この映画はとっても深くて、そういうことを考えはじめるとキリがないし、疲れます。むずかしいことはパスして、大自然を旅するロードムービーとして見ても、十分に楽しめるでしょう。とにかく景色がホントにキレイ。 <音楽> <ウスワイア、世界の果て> 近郊には妖精がいそうな湖と深い森が広がり、マゼラン海峡クルーズをすると「アザラシだらけの大岩」も見れます。岩一面に模様のように張りついてるアザラシは、圧巻っていうか、こわいっていうか・・・。 ラテンアメリカ 光と影の詩 フェルナンド・E・ソラナス監督 1976年の軍事クーデター直後、パリに亡命。パリで暮らす亡命アルゼンチン人たちを描いた『タンゴ〜ガルデルの亡命』(1985年)は、ベネチア映画祭など多くの国際映画祭で賞を獲得。帰国後は、「帰還」をテーマにした『スール』(「南」の意)を完成させる一方、政治腐敗を激しく批判し続け、メネム大統領に名誉毀損で訴えられた。1991年、法廷での証言の翌日、「何者かに」銃撃を受け、負傷するといった事件も起こっている。
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自転車で南米大陸を縦断する主人公(ウォルター・キロス) 崩れ落ちるビルは、何を表すのか? 少女は幻だったのか? アルゼンチンの南端 世界で一番南にある町 ウスアイア |
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関連リンク FITO PAEZ ウスワイアの写真を見る |
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旅行して、どんな人たちと会った? どんな体験をした? 何を感じた? http://www.page.sannet.ne.jp/megmeg/ Copy Right (C) 1997-2000 Emico Meguro All Rights Reserved. |