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04/12/2004

JOAO GILBERTO in Tokyo 伝説の一夜がCDになった!



2003年9月、東京国際フォーラムで行われたジョアン・ジルベルトの初来日公演がCDになりました。タイトルは直球です。"JOAO GILBERTO in Tokyo"。彼のギターと声、そして聴衆の拍手、他には何もない。でも、それだけあれば、もうなにもいらない。そんな想いが製作者にもあったのか!?CDは真っ白な紙のパッケージに入っています。タイトルだけが、ちょっと浮き上がって刻まれている。

聴くたびにあの晩がよみがえる。でも、ただ同じ反復があるだけじゃない。いまここにある音は、時間も場所もすべて超えて、無限のイマジネーションを運んでくる。ジョアンは、この音を聴き、しばらくして言ったそうだ。「僕はここに何か形而上的なものを感じている」。

そう、村上春樹の短編『1963/1982年のイパネマの娘』には、「形至上学的な足の裏」を持ち、永遠に年をとらないイパネマの娘が登場したんだっけ。

世の中のたくさんのことは、どんどん薄れていってしまう。たいしたもんじゃないから。でも、絶対的な力を持ち、すべて超える存在は、ある。

なーんてミョーに力むこともないか。だって、このCDは、「力み」と対極にあるんだもんね。けっこう疲れた1日が終わって、お風呂に入りながら聴くのにうってつけ。アコースティックのギターと、すーっと肌をなでるようなジョアンの声・・・。


当初、ライブをCD化する計画はなかったんだそう。ジョアンが、彼のために録音していたDATが、こうしてCDになった経緯は、解説に詳しく書いてあります。心のこもった解説つき、日本盤がおすすめです。

「僕は音楽で自分を表現している。その音楽が音楽として良いか悪いかだけが重要だ。言葉による説明や補足は必要ではない。音楽を言葉の世界に翻訳するのは不可能だ」。

なんて潔いんだろう。この言葉を聞いて、某音楽専門チャンネルを思い出した。メーキングとインタビューに多くの時間を割き、音楽は細切れじゃ、伝わってくるものがない。奇跡の音は、別のところで生まれてる。


(ジョアン・ジルベルトの言葉は、CDの解説から引用させていただきました)



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