ホーム> 60日間のラテンな旅行体験記
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忘れじの晩餐 |
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「わたしの祖母も、曾祖母も、その先祖も同じように村でつつましく暮らしてきたが、娘(ラウラ)の世代から生活は激変した。彼女たちは街で働き、クルマやコンピュータを自由自在に操っている。わたしと娘の人生にはすごく大きな違いがある」。 楽しくお喋りするなかで、彼女はふと漏らした。なるほど、村と都市や世代間のギャップは、国の違いを超えて存在しているようだ。今は情報網の発達により村と都市などの地域差は縮まりつつあるが、各人の「情報取りこみ量と情報選択能力」によって、また新たな格差が生まれつつあるのではないか、などと考えるの巻。 「粉っぽい白い色で、あまりおいしそうじゃないなあ…」と思っていたんだけど、食べてみたら驚きのおいしさ!
おいしそうに見せるための添加物を入れない、自然なパンなんだろう。 「ホント、母がいるときに遊びに来てラッキーだったわよ。彼女がいなかったら、いつもサラダ、サラダ、サラダ状態なんだから」と友人のラウラ。お母様はクルマで1時間半ほど行ったところにある村に住んでいるが、ときどきサラマンカに遊びに来るのだそうだ。今回の旅行では「ラッキー」と言われることが多いみたい。 わたしが散歩中にもらったメキシコ料理店のチラシを穴があくほど見つめ、「メキシコ料理って辛いんじゃないの?」。「いや、辛くないのもいっぱいあるよ」とわたし。「最近、はやっているのよ」とラウラ。「初めて中華料理を食べたときも、ちょっとためらったけどおいしくて、今じゃ大好物なの」とお母様。結局、好奇心が勝った。 金曜日の夜、レストランは若者たちなどで大混雑していたが、運よくほとんど待たずに席をゲット。最近、メキシコ料理を食べるのが流行しているそうだ。「適当に頼んでね。わたしたちはよくわからないから」とラウラが言うので、代表的な料理をみつくろってオーダー、ほどなく料理が運ばれてきた。 それぞれのお皿に分けるのはわたしの役割だが、お母様の視線がわたしの手に突き刺さる。「ねえ、ラウラ、手伝ってあげたほうがいいんじゃないの?」。お母様はじっと待っている時間が100年に感じられているようだ。熱い視線をまともに受け、手が震えそうになりながら、ついに分け終えた。ホントに長い時間に感じられたわ…。 それから「もう食べられない」と口々に言い続けながら、わたしたちはすべてを食べ尽くした。もちろん大量のデザートまで…。 当然…と恐れ入って身を引いたら、「そうもいかないだろう。このポテトチップの小袋は220ペセタだが、えーい、このさい交換だ」と販売員のオヤジ。 何が「そうもいかない」のかよくわからないが、これがラテンのスピリット!「多く支払う人もいれば、少なく支払う人もいる。人生はそんなもんだ」と言いながら、オヤジは鷹揚なしぐさでポテトチップを差し出した。 「そうか、日記をつけているのか。それならこのことを忘れずに書いておきたまえ」。豪快に笑いながら、立ち去る彼。日記だけじゃなくて、ほら、こうしてインターネットのホームページにまで書いちゃったんだから! 同じことをわたしも思っている。ありがとう、ラウラ、そしてお母様! 次はフランスへGO! |
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