ホーム 60日間のラテンな旅行体験記 インデックスヨーロッパ/アメリカ

オー・シャンゼリゼ


どこに行っても散歩が好きなわたしだが、フランス語が喋れないこともあって、パリでは特に歩行距離が増えた。

第一日目
朝8時半、夜行列車でオステルリッツ駅に到着。ロッカーに荷物を預け、ユーロスターの予約、ホテル探しに出発。

地下鉄の切符売場で「2日間乗り降り自由チケット」を購入しようとして、フランス語と格闘。「70」と「50」がゴッタになってしまった…。

英語を喋るインフォメーションでユーロスター、パリ−ロンドン間の金額を確認すると、645フラン(約14200円)だという。ちょっと高いけれど、まあ、いいか。『ミッション・インポッシブル』の雰囲気が味わえることだし…。などと考えながら切符売場に行って「ユーロスターのロンドン行き、1枚ください」というと、「事故があったから、当分の間、運転はしていない」とあっさり言われた。それなら、金額を尋ねたときに教えてくれればいいのに!

代替案は、列車→船→バスで9時間かけてロンドンに辿りつくというコース。250フラン(約5500円)はうれしいけれど、イギリスで友人と会う時間が半分に減ってしまうのでパス。いずれにしても今日は日曜日、旅行代理店もぜーんぶお休みなので、ゆっくり考えることにして、北駅の真ん前にある小ぎれいなホテルにチェック・イン。

レ・アール、ポンピドー美術館あたりをお散歩。

サン・ミッシェルのカフェでコーヒーを飲む。ギャルソンに「灰皿を持ってきてね!」と頼んだが、なかなか戻ってこない。隣りに座っていた外国人観光客と思われる夫婦のテーブルには灰皿がふたつ、男性のほうがニマッと笑いながら、灰皿を差し出してくれたので、ありがたくお借りした。

しばらくして灰皿を持って戻ってきたギャルソンは、すでにわたしのテーブルのうえに灰皿が乗っているのを見て、舌打ちを3回した。自分の仕事ぶりを批判されたと彼は感じた…と思うのは勘ぐり過ぎかしら???

天気がよくないので、映画を見ることにした。以前、ヨーロッパで時間つぶしに見た映画『ポンヌフの恋人』は、言葉がわからなくても感動したので、今回もいけるかなと思った。

『UN AIR DE FAMILLE』というタイトルのこの映画は、バラバラになっている家族が再会したある1日の物語で、卓越した演技力を持つ、味のある俳優たちが出演していた。場内は満席で熱気ムンムン、フランス人たちは爆笑の嵐…。確かに俳優たちの表情を見ているだけでも楽しめる。でもほんの少しだけである。

この映画の核は、集結した「家族」たちの(フランス人らしい)皮肉とユーモアに富んだ言葉のやりとりなので、やはり言葉がわからないとキビシイ。最近、日本でもまたフランス映画の公開本数が増えてきたようなので、「日本語字幕付き」でもう一回見たい!

追記:この映画は『家族の気分』というタイトルで、97年9月〜10月にかけて日比谷シャンテシネで公開されました(フランス映画社配給)。

夕食はこじんまり系だが雰囲気のいいレストラン。フランス人たちは、あまり「呼び込み」したりしないのだが、外に張り出されたメニューを見ていたら、感じがいいムッシューがおおげさな身振りで「さあ、どうぞ」という。言葉が喋れない国にいると、ついついファースト・フードに走りがちなので、これ幸いとばかりに飛び込んだ。

ムッシューは英語も話す。なんか、英語を喋るフランス人が増えたような気がするんだけど…。わたしがフランス語を話せるようになる前に(いつのことだろう)、フランス人はすっかりEUに溶けこんじゃって、みーんな英語を話しだしちゃったりして…。でも、それじゃあ、フランスに来てもつまらない。わたしはフランス語と格闘するのが好きなんじゃないかと思うこのごろ。

メニューは前菜(ゆでたまごとトマトのマヨネーズ乗せ)、メイン(白身魚)、デザート(キャラメル・プリン)、コーヒー、お水。特にお魚とプリンが絶品だった。

第二日目
朝一番で(もちろん朝食後に)ホテル近くの旅行代理店へ行き、明日のロンドン行きの航空券をゲット。担当者は「片道を買うよりも、往復を買って帰りのぶんは捨てるほうが安い」とキーボードを叩きながら言った。往復で1025フラン(約2万2550円)である。高いし、もったいない気はしたが、パリ滞在は今日限り。安いチケットを探しに明け暮れるほうがもったいない。涙をこらえて(?)クレジットカードにサインをした。

「こんなの初めてだよ!」。わたしのサインを見て、担当者は大きな声をあげた。ついでにまわりのスタッフに見せている。この担当者(30歳くらい、アフリカ系の男性)は無邪気で親切、しかもおしゃれでカッコいい。原色を織り込んだ細いヒモを手首に巻いているのだが、これがまたキマっている(ひとつ間違えたら「輪ゴム」になりそうなのに…)。

力の限り、知っているフランス語はすべて交えながら話したせいか、気持ちのいい時間が過ごせたみたい。フランス人はクールに見えるけど、「入っていこうとすれば」受け入れてくれるの(コミュニケーション全般にいえることかもしれないけど)。ああ、スノッブな魅力がたまらない。

今日のお散歩コース
北駅→48番のバス→モンパルナス

お散歩(思いがけずエッフェル塔が見えて感激する)、ウォーターマンのボールペン購入。

FALGUIERE駅→PLAISANSE駅

お散歩、カフェ。

PERNETY駅→シャルルドゴール駅

凱旋門の広場をグルッとまわり、シャンゼリゼを下る。

フランス人も行列するセルフサービスのカフェで、おいしいサンドイッチ+チョコレートパン+カプチーノのランチ。ここでまたフランス語と格闘。「お持ち帰り」と「ここで食べる」では、並ぶべきカウンターが別とのことである。

さらにシャンゼリゼを下り、セーヌ川にかかる「アレクサンドルV世橋」まで歩く。どんどんパリっぽくなってきて、感激深まる。ただし「アレクサンドルV世橋」は(やっぱり)工事中。

INVALIDES駅→CHAMP DE MARS駅

エッフェル塔にご挨拶。公園や近所の街をお散歩。

69のバス→GAMBETTA駅(パリ市内を西から東へ横断するような感じ)

GAMBETTA駅周辺は下町っぽい。食料品店(スーパーではなく)で、水とビールを購入し、カフェでコーヒー。

69のバス→サンジェルマンのあたりで降りる

「アートっぽい雰囲気」に浸る。キッシュとコロッケ・ムッシューの夕食。簡素だが、おいしくて満足。ゴージャスな食事じゃなくていいから、もっともっと食べたいのに、明日はパリを離れなくちゃ…。

歩き過ぎて靴ズレができたので、バンドエイドを買う。幅6センチ、長さ1メートルのバンドエイドを発見。傷の大きさにあわせ、任意の長さに切り取って使うので合理的。押しつけられることを潔しとしないフランスっぽいと思いませんか?

→地下鉄でサン・ミッシェル駅へ

「KOOKAI」の靴を買う。アフリカ系のおにいさんはとっても明るい。もうひとりの店員の白人女性は冷静沈着なタイプで、「靴スプレー」や「中敷き」をしっかり売り込む。いいコンビネーションだなあと思っていたら、おにいさんが「ボクたちは夫婦で、いっしょに働いてるんだ。だからいつもいっしょだよ」。あっかるい!

→バスと地下鉄を乗り継いで、ホテルに戻る。

ホテルの隣りの魚屋のおにいさんと顔なじみになったので、ごあいさつ。

イギリスの友人に電話し、飛行機のチケットが取れた旨を伝える。声がとってもクリア、まるで近所に電話しているみたい。さすが、EU!

疲れきって深い眠りに落ちる。

第三日目
国鉄に乗ってシャルル・ドゴール空港へ。ホームに入ってきた電車に乗ろうとすると、フランス語で話しかけられた。「この電車は空港第一ターミナルに停まるか?」と尋ねているようだが、「多分ね」としか言いようがない。だってわたしも旅行者なんだもん。

エキゾチックとは程遠い顔立ちの東洋人が荷物を抱えていれば、「旅行者」だってわかるんじゃない?(まあ、フランスにも東洋人がたくさん住んでいるけれど)だいたい外国人にモノを尋ねるときは、「フランス語が喋れますか?」と確認してから、フランス語を喋ってほしいもんだわ。でも言えなかった。自己主張が足りないのかなあ…。

初体験のエアー・フランスは、すべてが洗練されていた。

「飲み物はいかがいたしますか?」(フランス人が言うと、なぜかこんなイメージになる)とスチュワーデスに尋ねられたとき、ちょうどデザートを食べていたわたしは、まるで『サザエさん』のようにデザートが喉につかえてしまった…。そんなドタバタを見て、フランス人スチュワーデスはあくまでも上品に、やさしく微笑む。

これにて、フランスはおしまい。

イギリスへGO!

関連リンク 家族の気分 航空会社★取り表 フランス人

旅行した時期は
1996年10月〜11月です。



旅行して、どんな人たちと会った? どんな体験をした? 何を感じた?
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