ホーム> 60日間のラテンな旅行体験記
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オー・シャンゼリゼ |
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第一日目
代替案は、列車→船→バスで9時間かけてロンドンに辿りつくというコース。250フラン(約5500円)はうれしいけれど、イギリスで友人と会う時間が半分に減ってしまうのでパス。いずれにしても今日は日曜日、旅行代理店もぜーんぶお休みなので、ゆっくり考えることにして、北駅の真ん前にある小ぎれいなホテルにチェック・イン。
しばらくして灰皿を持って戻ってきたギャルソンは、すでにわたしのテーブルのうえに灰皿が乗っているのを見て、舌打ちを3回した。自分の仕事ぶりを批判されたと彼は感じた…と思うのは勘ぐり過ぎかしら???
『UN AIR DE FAMILLE』というタイトルのこの映画は、バラバラになっている家族が再会したある1日の物語で、卓越した演技力を持つ、味のある俳優たちが出演していた。場内は満席で熱気ムンムン、フランス人たちは爆笑の嵐…。確かに俳優たちの表情を見ているだけでも楽しめる。でもほんの少しだけである。 この映画の核は、集結した「家族」たちの(フランス人らしい)皮肉とユーモアに富んだ言葉のやりとりなので、やはり言葉がわからないとキビシイ。最近、日本でもまたフランス映画の公開本数が増えてきたようなので、「日本語字幕付き」でもう一回見たい! 追記:この映画は『家族の気分』というタイトルで、97年9月〜10月にかけて日比谷シャンテシネで公開されました(フランス映画社配給)。 夕食はこじんまり系だが雰囲気のいいレストラン。フランス人たちは、あまり「呼び込み」したりしないのだが、外に張り出されたメニューを見ていたら、感じがいいムッシューがおおげさな身振りで「さあ、どうぞ」という。言葉が喋れない国にいると、ついついファースト・フードに走りがちなので、これ幸いとばかりに飛び込んだ。 ムッシューは英語も話す。なんか、英語を喋るフランス人が増えたような気がするんだけど…。わたしがフランス語を話せるようになる前に(いつのことだろう)、フランス人はすっかりEUに溶けこんじゃって、みーんな英語を話しだしちゃったりして…。でも、それじゃあ、フランスに来てもつまらない。わたしはフランス語と格闘するのが好きなんじゃないかと思うこのごろ。
メニューは前菜(ゆでたまごとトマトのマヨネーズ乗せ)、メイン(白身魚)、デザート(キャラメル・プリン)、コーヒー、お水。特にお魚とプリンが絶品だった。
「こんなの初めてだよ!」。わたしのサインを見て、担当者は大きな声をあげた。ついでにまわりのスタッフに見せている。この担当者(30歳くらい、アフリカ系の男性)は無邪気で親切、しかもおしゃれでカッコいい。原色を織り込んだ細いヒモを手首に巻いているのだが、これがまたキマっている(ひとつ間違えたら「輪ゴム」になりそうなのに…)。
力の限り、知っているフランス語はすべて交えながら話したせいか、気持ちのいい時間が過ごせたみたい。フランス人はクールに見えるけど、「入っていこうとすれば」受け入れてくれるの(コミュニケーション全般にいえることかもしれないけど)。ああ、スノッブな魅力がたまらない。
お散歩(思いがけずエッフェル塔が見えて感激する)、ウォーターマンのボールペン購入。
お散歩、カフェ。 凱旋門の広場をグルッとまわり、シャンゼリゼを下る。
フランス人も行列するセルフサービスのカフェで、おいしいサンドイッチ+チョコレートパン+カプチーノのランチ。ここでまたフランス語と格闘。「お持ち帰り」と「ここで食べる」では、並ぶべきカウンターが別とのことである。
エッフェル塔にご挨拶。公園や近所の街をお散歩。 69のバス→GAMBETTA駅(パリ市内を西から東へ横断するような感じ)
GAMBETTA駅周辺は下町っぽい。食料品店(スーパーではなく)で、水とビールを購入し、カフェでコーヒー。
「アートっぽい雰囲気」に浸る。キッシュとコロッケ・ムッシューの夕食。簡素だが、おいしくて満足。ゴージャスな食事じゃなくていいから、もっともっと食べたいのに、明日はパリを離れなくちゃ…。
歩き過ぎて靴ズレができたので、バンドエイドを買う。幅6センチ、長さ1メートルのバンドエイドを発見。傷の大きさにあわせ、任意の長さに切り取って使うので合理的。押しつけられることを潔しとしないフランスっぽいと思いませんか?
「KOOKAI」の靴を買う。アフリカ系のおにいさんはとっても明るい。もうひとりの店員の白人女性は冷静沈着なタイプで、「靴スプレー」や「中敷き」をしっかり売り込む。いいコンビネーションだなあと思っていたら、おにいさんが「ボクたちは夫婦で、いっしょに働いてるんだ。だからいつもいっしょだよ」。あっかるい!
ホテルの隣りの魚屋のおにいさんと顔なじみになったので、ごあいさつ。 イギリスの友人に電話し、飛行機のチケットが取れた旨を伝える。声がとってもクリア、まるで近所に電話しているみたい。さすが、EU!
疲れきって深い眠りに落ちる。
エキゾチックとは程遠い顔立ちの東洋人が荷物を抱えていれば、「旅行者」だってわかるんじゃない?(まあ、フランスにも東洋人がたくさん住んでいるけれど)だいたい外国人にモノを尋ねるときは、「フランス語が喋れますか?」と確認してから、フランス語を喋ってほしいもんだわ。でも言えなかった。自己主張が足りないのかなあ…。
「飲み物はいかがいたしますか?」(フランス人が言うと、なぜかこんなイメージになる)とスチュワーデスに尋ねられたとき、ちょうどデザートを食べていたわたしは、まるで『サザエさん』のようにデザートが喉につかえてしまった…。そんなドタバタを見て、フランス人スチュワーデスはあくまでも上品に、やさしく微笑む。
これにて、フランスはおしまい。 |
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