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今週の「な〜に言ってんだか」2009


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2009年12月4日(金)ペルシャ猫を誰も知らない
今年も12月になった。あれ、やっておかなくちゃ。あっ、これも。やってもやっても次々出てくる。小さなコトがたくさん。そうこうしているうちに、今年も終わっていく。でも、ひとつ、どうしても書いておきたいことがある。『ペルシャ猫を誰も知らない』というイランの映画。

西洋文化が厳しく制限されている国。ロックやポップスを演奏することも、コンサートを開くことも(得られることがない許可がおりない限り)禁止されている。でも、アンダーグラウンドで、若いコたちは活動する。牛小屋で練習するロックバンドが登場する。

若い男女のカップル。彼らは亡命して、ロンドンに行って、ロックコンサートに出演することを夢見ている。夢見るだけじゃなくて、実際に、闇の世界の斡旋屋さんを通じて、パスポートとビザを取得する手続きを着々と進めている。

パスポート偽造職人?のじいさんは、とぼけていて、人間味があって、味わい深い。抑圧された社会で生きる人々のユーモアは、ずん!と心臓をつかむ。

この国では、ペットを外に連れ出すことも禁止されている。不潔だからだという。ペットといっしょにクルマに乗っているところを警官に見つかり、連れ去られてしまうペットの犬。

ストリート・ミュージシャンのラップ。政府を痛烈に批判するその歌詞と、シンガーの存在感。許可を取らずに撮影した生のテヘランの街が、背景に流れる。

上映前、監督のメッセージが読まれた。
ぜひ、来日したかったが、ビザがおりなかったとのこと。

監督は国外追放になったんだそうだ。
「この映画がイランで上映されることは、ありえないでしょう」。

「自由に呼吸ができるところに行きたい」。
偽造パスポートを作成する秘密の地下室のシーンで、呟かれたセリフ。

映画を見ながら、あたしはずっとキューバのことを考えていた。今年の夏に行ったキューバには、ちょっと似たような空気が感じられたから。

「政府はレゲトンを聴くことは、あんまり歓迎していないんだ。昔からあるキューバ音楽を聴くことを推奨してるんだよ」。

それが本当のコトなのかはわからない。でも、知り合ったキューバ人は、そう言っていた。キューバでレゲトン?って、最初はちょっとビックリしたし。

映画に戻って。ラストには衝撃が待ち構えていた。場内が明るくなっても、すぐに現実に戻れなかった。会場を出て、ホームに降りて、地下鉄に乗っても、まだ戻れなかった。

この映画の一般公開はむずかしいかもしれない。でも、もし、『ペルシャ猫を誰も知らない』というタイトルを見かけたら、ぜひ! 特に、重いけどユーモアがあって、考えさせられる映画が好きな人に。

「ペルシャ猫」とは、イランのアンダーグラウンドなロッカーなことを言うそうです。

2009年6月28日(日)棚卸し
なるべくモノを増やさないように、シンプル+ミニマムを心がけてきたつもりだった。が、ふと気がつくとモノは増えまくってた。自分なりに掃除もしてたつもりだったけど、新しかった部屋もよくよく見ると、けっこう汚れてきている。今の部屋に引っ越して5年半。いい機会なので、気が済むまで、お掃除することにした。

狭い部屋なのにブラックボックス的な場所があって、引っ張り出してみると、昔々の旅行先でもらった地図やパンフレットがひとかたまりになっている。見ないで捨てよう!という衝動もあったけど、もしかすると何かのメッセージかも・・・と思ったりもする。

かたまりを開けると、忘れていた旅行がどんどん蘇ってくる。写真もそう。メッセージがあった。大切なことを忘れちゃダメだよって。

モノの棚卸しをしてても、結局は人につながる。仕事も棚卸ししてみたけど、やっぱり人につながっていくような気がする。

南米からはずいぶん前に帰ってきた。今回は8年ぶりの南米だったから、進化してたのにビックリ。ご当地の航空会社だってもちろんチケットレスだし、ネットも浸透してるから情報も得やすいし、冒険は少なくて比較的静かな旅行。ところがどっこい、相変わらずのどんでん返しもあったし、そうカンタンにラテンは変わらない!っていうような出来事も、ちゃーんとあった。

大棚卸しをしてたとき、昔の旅行の写真が出てきた。もうすっかり忘れてたので、自分のホームページでチェックしてみたら、キャッ!と叫んで、全部消したくなった。こんなコト、書いて、公開までしてたのね。

振り返ってみれば、ホームページをオープンして12年だもんね。旅行をするときに大切にしたいコトは、今も開設当時と変わってない。ただ、よくよく細かい内容を見てみると、何でこんなどうでもいいこと書いたんだろう?って感じね。

そんなわけで、今回の旅行をアップする気がすっかり失せている今日このごろ。旅行について書くこと自体、気が済んじゃってるしね。と言いながらも、こうやって書いているのは、やっぱり、好きに書ける場所を残しておきたいっていう気持ちがあるんだと思う。

書いてきたことは、大げさに言えば、あたしの軌跡なわけだから、全部消すのはやめた。

2009年4月8日(水)ウネリ
今にして思えば、2月、安室ちゃんのライブを代々木第一体育館で見たのが、(大げさだけど)啓示だったのかも。あのときは本当に仕事を辞めるとは思ってなかったし(「辞めてやる!」っては半年ごとに言ってたけど)、このタイミンングで、8年ぶりにラテンアメリカに行くことになるとも本気で予想はしてなかった。

安室ちゃんのライブはうねってた。あんなに大きい会場はひさしぶりだし、こんなに有名なシンガーのライブを見るのも滅多にないこと。端っこの席だったので、安室ちゃんは見えたり、見えなかったりだったんだけど、ウネリとエナジーはカラダで感じたんだよね。エナジーって一言で書いちゃったけど、解き放たれる力っていうか、発散されるパワーっていうか、とにかく惹きつけて離さない彼女の魅力はすごかった。踏み出すステップひとつひとつが、前へ、前へと引っぱっていく。

もうずいぶん昔みたいな気がする。あれからいろーんなコトがあったな・・・と振り返りモードになりつつ、ひさしぶりの南米、ドキドキしてる。もう日付でいえば今日出発。まず、ブエノスアイレスに行ってともだちと会う。タイミングがあえば周辺の国に行く。その後、カンクンに移動して、できればキューバに行きたい。いま、行きたいんだよね。

チケットは成田−ブエノスアイレス−カンクン−成田で買った。あとは現地で。タワーレコードで書き写したオノ・ヨーコのメッセージも持っていく。旅行しながら、そのメッセージに含まれる言葉ひとつひとつをじっくり考えてみたい。帰国予定は5月中旬。どんな旅になるんだろう???

2009年2月8日(日)いざ、タワーレコードへ!
YELLEのCDが突然(パッケージで)欲しくなり、タワーレコードに行った。今にして思えば、どうしても聞きたかった
"A Cause Des Garcons"だけダウンロードして済ませてもよかったような気もする。

でも、ダウンロードは味気ない。確かに欲しい曲は聴きたいときに、すぐに手に入るけど、プラスアルファがない。サプリみたいなもんね。記載されてる栄養素は補給できる。が、それ以上の、それ以外の予測できない要素がない。ま、最近を振り返ってみると、ダウンロードのほうが全然多いんだけど。

タワーレコードには、オノ・ヨーコのポスターが貼ってあった。「今はね、じつはいい時代だと思っています」という書き出しから始まるメッセージが添えられている。

「風潮を生み出し、拡げてゆくこと、それが一番やさしいやり方で社会を変えていくのだと思います」。

彼女のメッセージはぜんぶ書き写してきて、いつも持っている。姑息な連中が上手にすり抜けて行こうとするのを見るたび、「そんなことでいいの?」って思うたび、読み返す。

アヴァンギャルドで、アグレッシヴで、かつてはずいぶん批評もされた彼女の2009年のメッセージだ。

長く生きていくっていうのは、こういうことなのかもしれないなって思う。

オノ・ヨーコのメッセージ、全文を読んでみたいなら、タワーレコードへ!

2009年1月25日(日)昨日キューバ、今日はパリ
桜が咲きそうなポカポカした金曜日、原宿の入り組んだ裏通りを歩いてた。ひさしぶりだな、このあたり。ある場所を探していたんだけど、見つからない。見つかったけど、めざしていたものはなかった。

このへんは民家とショップがパズルみたいに、隙間なく組み合わさってる。カッティング・エッジな洋服屋さんの隣りの家の庭先には、雑種の飼い犬がいる。何度呼んでも振り向かない。謎はしばらくして解けた。飼い主のおばあさんといっしょに歩いている雑種君とすれ違う。そっか、散歩を待ってたんだ。

たぶん、あそこは昔「クリームソーダ」っていう50'Sのお店があったところ? チェ・ゲバラの写真展が開催されていた。入ってみた。導かれるように。もう今のあたしより全然若いゲバラが並んでる。日本に来てトヨタの工場とか視察してたのね。知らなかった。知らないコトが無限にある。

革命から50年、ゲバラも生きていたら80歳なんだそうだ。フライヤーを見てたら、明日、ホールで記念友好フォーラムがあるという。しかもウチの近所。行ってみることにした。

とりわけ吉田太郎さんの講演(講談?)はおもしろかった。めくるめくスピードで進んだので、理解できないことも多かったけど、彼の話はまた聞いてみたい。戸井十月さんは、本当にカッコよかった。

キューバに行ったのは、もう13年も前のこと。心残りはある。ホテル・イングラテーラに泊まらなかったこと。ハバナの中心地のお散歩不足。パネリストのひとりが言った。「カストロが生きているうちに、ぜひ、キューバを訪ねてみてください」。

キューバに導かれていくのか、現在公開中の「チェ 28歳の革命」を見に行くに留まるのか、まだわからないけどね。

その日は、真冬のパリみたいに寒かった。昔の旅が、いまの東京と重なりあう。そういうイマジネーションがあることはしあわせ。だけど、まだ現実の旅も重ねていきたい。

海南島のエピソードは、来週あたりにアップ予定。

関連リンク:キューバ


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