ホーム世紀末な???中南米旅行インデックス ベネズエラ

4/12/1999

ベネズエラな時間と人々


その1
空港に行くバスに乗ろうと思って、バス・ターミナルをのんびり歩いていたら、「こっち、こっち!」と手招きされ、「チケットはあそこで買ってね。荷物はここに入れてね。すぐ出発するから、早く乗ってね」と指示された。バスはエンジンもかかってたし、日本人なわたしはてっきり「すぐ出発するもんだ」と思った。でもここはベネズエラでした。

20分くらいたっても、バスは動く気配がない。隣りにいたおじさんに、「このバス、何時に出発するの?」と尋ねてみた。

「このバスはね、だいたい、だいたい満席になったら、出発するんだよ」

彼はちょっと間を置いてから、「だいたい、だいたい」のところにアクセントを置いて言った。出発したのは…さらに15分後くらい。時刻表って、ないのね。

その2
ハンバーガー屋に行った。マックは食べたばっかりだったし、ローカルなハンバーガー屋も試してみよう…と思ったのが、間違いの始まり。ものすごくお腹が空いていたので、ビッグなやつを頼んだのが、次の間違い。待てど暮らせどハンバーガーは出てこない。若い店員の男のコに目で訴えてみたが、「気がある」と勘違いしたのか、色気のある微笑みが返ってきた。もうしばらく待ち、ついに怒りが爆発した。

「もう20分以上も待ってるのに、どうなってるの?」

「今、やってます。もうすぐできます」

確かに奥のキッチンでは、さっきからハンバーガーの中味を表にしたり、裏にしたり、少なくとも焼いているのは見えていた。

「肉厚のハンバーガーなんで、時間がかかってるんです」

「それにしたって、遅すぎるわ」

若い店員の女のコはおろおろし、手が震え、やっと出来上がったハンバーガーにコーラをこぼしてしまった。不幸中の幸い、肉厚のハンバーガーは無事だったけど、パンが濡れてしまい、またパンを焼き直した。結局、出来上がったのは、注文してから30分後。ストレスがたまった。

その3
両替屋に行った。午後の営業は14:00から…と書いてあったので、お昼を食べてから戻ることにした。14:25ごろにもう一度行ってみたら、長蛇の列ができていた。列に並んでいたおばさんが怒っていた。

「いったいどれだけ待たせるのかしら。開店時間をもう30分も過ぎているのよ。だいたいね…」

彼女は前に並んでいる人に怒り、それでも足りなくて後に並んでいる人にも怒り、まだまだ怒りは収まらずひとりで怒っていた。警備員や従業員はいるのだが、責任者が戻ってこないため、両替業務が行えないらしい。

ほどなくして責任者らしきオヤジが戻ってきて、やっと両替開始。もちろん責任者はおばさんにつかまった。

「あなた、こんな商売のやり方をしていていいと思ってるんですか? この30分の間に、たくさんの人が両替をあきらめて帰っていきました。つまりあなたはたくさんの顧客を失ったんですよ。これからのベネズエラでは、こんな商売のやり方をしていたらやっていけません(続く、続く、続く…)」

責任者のオヤジは神妙な顔をして聞いているが、反省しているようには見えない。「こんなことをしょっちゅうやってたら…」っておばさんが言ったら、「こんなことは、1年に1回です」って、済ました顔で言うんだもん。思わず吹き出しちゃったら、わたしの前に並んでた男性も、ニマッと笑った。

責任者のオヤジはたまらなくなって、どこかへ消えたが、おばさんは両替の順番がまわってきてもまだ怒ってて、あんまり怒り過ぎてレシートをもらうのを忘れた。「奥さま、レシートをお持ちください」と言われ、レシートをわし掴みにしながらもまだ怒り、レシートをしまいながらもまだ怒っていた。

そう、怒らないとストレスがたまります。言いたいことは言いましょう。まあ、怒りすぎて血圧が上がりすぎないようにしたほうがいいと思うけど…。

その4
テレビで番組宣伝CMを見ていると、「このテレノベラは<何々>の後に始まります」ってよく出てくる。<何々>は、別のテレノベラのタイトル。普通の番組宣伝って「何時から始まります」でしょ? つまり始まる時間が決まってないの。1時間に2本テレノベラを放映するんだけど、1本めは20分のこともあるし、40分のこともある。

その5
空港からカラカスに戻るときのバスも、いつになっても出発しなかった。「何時に出発するの?」って尋ねてみたら、運転手さんと切符売場の女のコが、ろくろ首状態で首をグーンと伸ばして、到着ロビーの様子をうかがい、「15分後」と答えた。あと15分もすれば、だいたい満席になると踏んだらしい。その隙にお手洗いに行ってきて、戻ってきたらすぐ出発したけど…。

その6
ゴチャゴチャした裏道を路線バスが走っていたとき、運転手さんがいきなり何か叫んだ。どうやらバスの直前を渡ったおばさんがいたらしい。日本語だと、「渡るんじゃねえ、クソババア」なんだろうけど、スペイン語だとまず「セニョーラ(奥様)」って呼びかけてから、敬語で「渡らないでください」って言うので、品がある。

その7
お手洗いに行った。几帳面なわたしは先にお金を払おうと、ゴソゴソやってたら、お手洗いおばさんが、「先に済ませておいで」と言ってくれた。

その8
カラカスの歩行者天国でアイスクリームを買って食べた。おいしいピスタッチオ・アイスクリームだったんだけど、特大でさすがに食べきれなかったので、残りのコーンをベンチに置いたら、隣りに座っていた犬連れのおばあさんに尋ねられた。

「もう食べないの?」

「もう食べられない」

「じゃあ、ちょーだい」

「犬にあげるの?」

「いいや、あたしが食べるんだよ」

おばあさんは歯が丈夫らしく、バリバリと音をさせながら、おいしそうにコーンを食べた。

その9 
旅行代理店で、ふたつのツアーを予約しようとした。前の日にも行って、一応ざっとしたところは伝えておいたから、1時間あれば終わるかな…って思ったけど、甘かった。1時間半待っても終わらず、結局夕方もう1回来ることになったのでした。

で、待ってる間、もうひとり外国人の女のコ(アメリカ人?)がいて、飛行機のチケットを買おうとしてた。どうしても「ドルで支払いたい」と粘る彼女。

「そんなことされたら、わたしたちはコミッション取れないし、ドルからボリーバル(ベネズエラの通貨)に両替するのに逆にコミッション取られちゃうし、いいことはひとつもない。ここはベネズエラなんだから、ベネズエラのお金で払って」。旅行代理店の担当者が説得しても、なかなか彼女に伝わらない。

ヒマだったからしばらく聞いてたんだけど、あんまり同じこと繰り返してるからさすがに飽きてきて、しばらくボーッとしてたら、いきなり「だ・か・ら!!!」って大合唱が響いた。どうやら彼女、何かとんちんかんなこと言ったらしいのね。そしたら担当者だけじゃなく、旅行代理店のスタッフ全員、ついでにちょうど居合わせたベネズエラ人のオヤジまで加わって、「だから、そうじゃなくて!!!」。なんか『ちびまる子』の世界だわ…。

 

関連リンク 
空港で5時間待ったロス・ロケスのエピソード
テレノベラ

 


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