<到着4日め>
寝たのは朝の4時半ごろだったのに、8時前には、鳥の声と太陽の光とともに、自然と目が覚めた。ある意味、ココロもカラダもいつも覚醒状態にある感覚。カーニバル熱にかかっちゃったのかな? そして、いつものように、昼間はダラダラ過ごした。気が付くと寝てたり、ショッピング・モールへ行って、CDを買ったり・・・。
日が暮れ、夜光虫になったわたし(たち)は、ライブ会場に向かう。今晩は、Trini Possiという、大っきなライブがあるの。コピーバンドと、長いインターバルの後、本命、いとしのXTATIK(エクスタティック)が登場したのは、深夜2時近く。彼は、セクシーなラスタ系、ここから超盛り上がりモードに入った。
ソフィアに引っ張られ、人々をかきわけ、かぶりつきまで行き着いた。そして、炸裂!深夜のソカ・ライブが始まった。ソカはトリニダードの伝統的な音楽「カリプソ」と、「ソウルミュージック」が合体した音楽。初期のソカは、カリプソののんびり感を残していたけど、最近は、もう血管切れそうな爆走パワー。ビートと低音がものすごーく強調されてるの。合言葉「ジャンプ、ジャンプ・アップ」を多用して、煽る。で、音量がこれまたすごい。ローカルな人々だって、耳栓してるひと、けっこういるのね。そこまでして、何でそんなに音量上げるんだか。ま、音量なかったら、ソカにならないか。
ドドドドッ、ダダダダッって、怒涛のベース+打楽器がリズムを刻んで引っ張って、歌い手がシャウトして・・・。言葉で説明するのは、まだるっこしいけど、とにかくすっごいパワーなの。ちょっとキワものっぽくて、安っぽいところもあるんだけど、ほとばしり、爆発するエネルギーで卒倒しそう。この感じは、買ってきたCDをウチで聞いても再現しないんだよね。たとえ、同じ曲でもね。あの熱気に包まれないと・・・。
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このライブには、XTATIKの他にもそうそうたるメンバーが登場した。爆走系では彼に勝る者なしIWER
GEORGE。「ハナナナナナナナナナナナナナナナナ!!!」と息継ぎすることなく連続シャウト! マジでカラダ中の血が逆流しそうな勢い。ちなみに、「ハナナナ・・・」は、Hands
up....と歌っていたことが、後になって判明。
そして、長老、ソカ・モナーク(ソカの王様みたいなもの)SHADOW。彼が歌う"Wave
It"という曲は、ものすごい勢いで巷でかかりまくってました。彼はチラッと登場しただけだったけど、熟年になったって、ソカはソカ。カッ飛ばす!
TCはXTATIKとデュエットした美形若手女性歌手。
決して若くはないけど、記憶から決して消えることのないお尻の振り具合も悩ましかったのが、DENISE
BELFON。複雑な8の字描きながら、腰を振るの。鼻血が出そう。勝手な想像だけど、彼女って、スクワットやらせたら、上手そう。腰を思いっきり下げて、振るんだもん。大腿筋も強力よ。
金八先生のころの武田鉄矢と同じ髪型、とてもフツーな服装が印象的だったのが、CHINESE
LOUNDRY。その名の通り、中国系で、髪型だけじゃなくて、顔もちょっと武田鉄矢に似てた。でも英語はトリニダード風だし、曲はもろソカ。ソフィアによると、彼は、FM局のオーナー券歌手なんだそうだ。
いつも街やラジオで流れまくってる曲の、オリジナル・アーティストたちの演奏が生で聞けるしあわせ! やっぱ、オリジナルはいい! 唯一残念だったのは、生DESTRAが見れなかったこと。彼女も胸騒ぎの腰付系なのね。テレビで見ただけだけど、ぶっ飛んだ。ソフィアによると、パーティとかに行くと、いっつも彼女が歌ってて、必ず、ソフィアの旦那、デーモンと見詰め合うんだそうだ。
ま、それはともかく、XTATIKに陶酔し、DENISE
BELFONの腰付に呆気に取られ、ジャンプしているうちにライブは終わった。午前3時半でした。
<到着5日め>
昨晩のライブは怒涛状態で終わっちゃったけど、つくづくトリニダードの人々の「顔」って、おもしろいと思う。いろーんな人種が混じり合っているせいか、世界の顔の展覧会、万博状態なのね。インド系、アフリカ系を中心に、もろヨーロピアンあり、中国系あり、ラテンあり、それが微妙に混ざり合った顔ありで。同じアフリカ系でも、インドやラテンがプラスされた、超エキゾチック系もいるしね。きれいなんだ、マジで。
そんなことを思い起こしながら、今日も昼間はダラダラと過ごした。翌朝、2時半起床し、カーニバル本番の幕開けイベント、J'OUVERTへ。「ジョウベ」と発音するのね。フランス語のJOUR(DAY)とOUVERT(OPEN)を組みあわせた言葉なんだって。昔からの儀式で、カーニバルの始まりのお祝いなんだそう。「ジョウベ」って「正しい」フランス語なのか、クレオールなのか? たぶん後者でしょう。フランスの海外県マルティニークの出身グループ、マラヴォアの曲にも、これと同じタイトルがあったような気がする。
トリニダード・トバゴは、コロンブスに「発見」されてから、スペイン、イギリス、フランス、オランダなどの国々が取り合った経緯があって、例えば地名でも、いろんな国の言葉の名残がある。フランス語の古語パトワも話されているって聞いたことがあったけど、ローカルの男のコに訊ねたら、「ホクは話せないけど、おじいちゃんは話せる」って言ってたっけ。
で、ジョウベ。トリニダードに到着した日の夜に見に行ったのが、ジョウベの打楽器コンペティションに参加するバンドの練習でした。覚えてるひと、いる??? 本番では、クルマの荷台に載せた打楽器を叩きながら、町中をパレードしてまわるのね。
関連リンク ジョウベに参加するバンドの練習を見に行ったハナシ
「汚れて困るものは、家に置いていくように。持っていくのは、お金をほんのちょっとと、タバコくらいでいいわ」。
ソフィアから指示が出た。水性ペンキを投げ合うから、ドロドロになるんだそう。
ジョウベは早朝4時ごろから始まった。ほどなくわたしたちは、頭からグレーのペンキをぶっかけられて、ロマンスグレーのオヤジみたいになった。しばらく歩くと、夜が明けてきた。そのころ、またしても!お手洗いに行きたくなっちゃった。でも、今回は、運よく、ちょうどいい、「物陰ありの空き地」を発見。しかも、お巡りさんがいる。護衛付き?で、無事、済ませることができました。お巡りさんとは仲良くなって、彼の迷彩模様のバンダナと、わたしのジャパニーズ・バンダナを交換したの。豆絞り、喜ばれました。
関連リンク 男子禁制 お手洗いアクシデント
2時間半ほど歩いて、「そろそろ帰ろうか」モードになったとき、ともだちが走ってきて、茶色の水性ペンキを大量に撒き散らし、豪快な高笑いとともに、疾風のごとく去っていった。せっかく乾いたところだったのに、またまたグチャグチャ。あれって、ペンキだったのかしら、それともドロ水???
<到着6日〜7日め>
さあ、いよいよカーニバル本番! インターネットで購入した「衣装」をつけて踊るときがやってきました。本番のパレードは、今日、明日の2日間続き、カーニバルは終わる。
お昼ごろ、パレード会場のサバンナに集合し、パレードが始まった。チームごとに分かれて、街中を練り歩くのね。
この2日間のことは、細かいことはよく覚えてない。1日めはお昼から夕方6時半ごろまで、2日めは朝8時ごろから、夕方7時くらいまで、街をパレードした。踊る、歩く、ラムを飲む、踊る、歩く、ラムを飲む・・・の繰り返し。ビールを飲むと、すぐお手洗いに行きたくなっちゃうから、ラムをストレートで飲み続け、気分がどんどん高揚した。
飲み物は、チームごとにワゴンがあって、いくらだったかな、2日間でUS50ドルくらい払うと、このワゴンに入っているお酒+ソフトドリンクが飲み放題になりました(「カリブ風豆ゴハン」のランチ込み)。
パレードはコンペティション形式になっている。でも、一番を狙おう!とか、どのチームが一番になったのかとか、そういうハナシはあんまり出なかった。新聞には、結果が掲載されていたと思う。「自分たちで楽しむカーニバル」っていうのが、わたしの印象。
1日目は衣装を完全にドレスアップしないのね。例えば、わたしのは、「ギザのピラミッド」というタイトルの衣装だったので、頭にピラミッド型の、比較的巨大な、被りモノを乗せるんだけど、これは1日めはつけない。あと細かい部品(二の腕や足に巻くエジプトチックなアクセサリ)も、つけないのね。で、2日目にフル装備にするわけ。
ピラミッド型の被りモノは、パレードしてる間に、どっかにいっちゃった。でも、それ以外の衣装は、持って帰ってきた。あのときより体重落ちたし、今、着てみたら、もっとセクシーかも?(いや、そういう問題じゃない)。
参考までに、靴はスニーカーです、ほとんどみんな。「エンジェル」っていうセクシーな衣装を着たソフィアたちも、靴はスニーカー。だって、7〜8時間も踊って、歩き続けるんだからね、背に腹はかえられないよね。
2日めのパレードのとき、XTATIKが乗ったPA付トラックが通りかかったとき、目が合っちゃった! なーんて、世界の果てまで、おバカな幸せ者状態でした。だって、夢と現実の境界線が薄らいでいたんだもんね。ラム、飲んで、飲んで、飲んで、いらなくなるまで、飲んで。
だから、カーニバルは終わらないんじゃないかって、そんな気にもなった。でも、終わりはあった。翌日、何もなかったように、ソフィアたちは仕事に行った。わたしは電話局でテレカを買い、日本に電話してから、街を歩いた。散らばったゴミを片付けてくれている、日常モードの街があった。
関連リンク ライブ、ジョウベ、カーニバル本番の写真を見る
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