話題をさらったのは、メキシコ本国だけではない。ヴェネチア国際映画祭では、主演の少年役ふたりが最優秀新人賞を受賞したうえに、最優秀脚本賞も受賞。ゴールデングローブ賞では最優秀外国語映画賞にノミネート、イギリスではランキング初登場でいきなり11位に食い込み、外国語映画では歴代第一位の記録を残すなど、各国で旋風を巻き起こしている!
なーんて賑々しく?書いちゃったけど、この映画、いろいろ賞を受けているからって、気合入れ過ぎたりしないで、サラッと見に行くのがいいかもしれない。
ドラッグ・パーティに明け暮れる、高校を卒業したばかりの2人の少年が、親戚の結婚式で年上の女性と知り合う。口実に「天国の口」という伝説のビーチをデッチ上げ、ダメモトで誘ってみたら、やっぱりかわされた。でも、数日後、彼女から「OK!」の電話が入る。その裏には、かなしい事情があったけど、少年たちはそんなことに気づくはずもなく、メキシコ・シティを出て、ボロいクルマで南へと向かう。存在するかもわからない「天国の口」(Boca
Del Cielo)をめざして・・・。
ストーリーはかなりシンプル。でも、そのぶん、感情移入しやすいんだよね。わたしの場合、映画を見ているときは、主人公のひとりになった状態で、もうどっぷり「彼らの夏」のといっしょにいた。で、見終わったあと、「あのころの、あの夏」が、じわじわと蘇ってきた。もう長いこと忘れていた出来事が、そのときの気温や湿度、焦燥感までいっしょに連れてきた。あたしの17歳の夏、肌にピタッとはりついた制服、流行っていた曲、屋上へと続く暗い階段、高校と駅の間の商店街にあった昔ながらの喫茶店、小田急線、そしてもっともっといろんなこと・・・。
あのころの出来事は、いつも唐突に終わった。経験値が少ないからなのか、予定調和が存在しないからなのか、そのくらいの年齢の思い出はそんなものなのか・・・。ただ、だからこそ、鮮烈に残った。だいたい、あのころにかいてた汗は、今、健康を考えてかく汗とは成分が違う。どうしようもなくプリミティブで、意志に逆らって流れた。
17歳だった自分や、この映画の17歳の主人公たちに対して、いとしさとか、愛着とかがあるなら、ひたひた残る映画になるかもしれない。
ま、それはともかく、この映画、ロードムービーとしても逸品だし、土地土地の人々や風景描写もすばらしいしね、あと、ナレーションがいいんだよね。第三者の視点から、淡々と語る。それは現実に引き戻す役割じゃなくて、今の自分と、自分が17歳だった夏の距離感に似て、思い入れをいっそう強める効果があったような気がするの。
日本語のタイトル、とっても好き。なのに原題は
"Y TU MAMA TAMBIEN" (AND YOUR MOTHER,
TOO)っていうのは、なぜ? これは見てのお楽しみ。
出演は、目下人気大爆発!『アモーレス・ペロス』のガエル・ガルシア・ベルナル、かつてはテレノベラにも出演していた美形俳優(!)ディエゴ・ルナ、そして、『ベル・エポック』、『エストレーリャ〜星のまわりで』など出演作多数なスペイン女優マリベル・ベルドゥーです。
関連リンク GAGA COMMUNICATIONSのオフィシャル・サイト
テレノベラ ガエル・ガルシア・ベルナル主演 『アモーレス・ペロス』
『エストレーリャ〜星のまわりで』
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