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09/04/2002

天国の口、終わりの楽園。
2001年 メキシコ映画 (原題 Y TU MAMA TAMBIEN) 

2001年、メキシコで並みいる強豪ハリウッド映画を押しのけて年間興行収入第1位の座を獲得した話題の映画!


『天国の口、終わりの楽園。』 写真
話題をさらったのは、メキシコ本国だけではない。ヴェネチア国際映画祭では、主演の少年役ふたりが最優秀新人賞を受賞したうえに、最優秀脚本賞も受賞。ゴールデングローブ賞では最優秀外国語映画賞にノミネート、イギリスではランキング初登場でいきなり11位に食い込み、外国語映画では歴代第一位の記録を残すなど、各国で旋風を巻き起こしている!

なーんて賑々しく?書いちゃったけど、この映画、いろいろ賞を受けているからって、気合入れ過ぎたりしないで、サラッと見に行くのがいいかもしれない。

ドラッグ・パーティに明け暮れる、高校を卒業したばかりの2人の少年が、親戚の結婚式で年上の女性と知り合う。口実に「天国の口」という伝説のビーチをデッチ上げ、ダメモトで誘ってみたら、やっぱりかわされた。でも、数日後、彼女から「OK!」の電話が入る。その裏には、かなしい事情があったけど、少年たちはそんなことに気づくはずもなく、メキシコ・シティを出て、ボロいクルマで南へと向かう。存在するかもわからない「天国の口」(Boca Del Cielo)をめざして・・・。

ストーリーはかなりシンプル。でも、そのぶん、感情移入しやすいんだよね。わたしの場合、映画を見ているときは、主人公のひとりになった状態で、もうどっぷり「彼らの夏」のといっしょにいた。で、見終わったあと、「あのころの、あの夏」が、じわじわと蘇ってきた。もう長いこと忘れていた出来事が、そのときの気温や湿度、焦燥感までいっしょに連れてきた。あたしの17歳の夏、肌にピタッとはりついた制服、流行っていた曲、屋上へと続く暗い階段、高校と駅の間の商店街にあった昔ながらの喫茶店、小田急線、そしてもっともっといろんなこと・・・。

あのころの出来事は、いつも唐突に終わった。経験値が少ないからなのか、予定調和が存在しないからなのか、そのくらいの年齢の思い出はそんなものなのか・・・。ただ、だからこそ、鮮烈に残った。だいたい、あのころにかいてた汗は、今、健康を考えてかく汗とは成分が違う。どうしようもなくプリミティブで、意志に逆らって流れた。

17歳だった自分や、この映画の17歳の主人公たちに対して、いとしさとか、愛着とかがあるなら、ひたひた残る映画になるかもしれない。

ま、それはともかく、この映画、ロードムービーとしても逸品だし、土地土地の人々や風景描写もすばらしいしね、あと、ナレーションがいいんだよね。第三者の視点から、淡々と語る。それは現実に引き戻す役割じゃなくて、今の自分と、自分が17歳だった夏の距離感に似て、思い入れをいっそう強める効果があったような気がするの。

日本語のタイトル、とっても好き。なのに原題は "Y TU MAMA TAMBIEN" (AND YOUR MOTHER, TOO)っていうのは、なぜ? これは見てのお楽しみ。

出演は、目下人気大爆発!『アモーレス・ペロス』のガエル・ガルシア・ベルナル、かつてはテレノベラにも出演していた美形俳優(!)ディエゴ・ルナ、そして、『ベル・エポック』、『エストレーリャ〜星のまわりで』など出演作多数なスペイン女優マリベル・ベルドゥーです。


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テレノベラ
ガエル・ガルシア・ベルナル主演 『アモーレス・ペロス』
『エストレーリャ〜星のまわりで』