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タオルミナにて


タオルミナ第一日目
まずは海辺の町、"GIARDINI NEXOS"へ。季節はずれのリゾート地は人影も少なく静か、お天気がよくウトウトと眠くなる。TシャツでOK、ミラノでマフラー+手袋してたのがウソみたい。海に近づいてみると、水がきれいに透き通っていて感動。

朝食を取っていなかったことを思い出し、海辺のカフェでパニーニ(サンドイッチのようなもの)と、ビタミンC補給のため果物のジュースを頼む。カンツォーネの古典『チャオ・チャオ・バンビーナ』がBGMで流れ、隣りのテーブルではイタリア人たちが色っぽいイタリア語でお喋りをしている。

南イタリアの雰囲気にのんびり浸ってたら、若い女のコが近づいてきて、「こんないいものがあるんだけど、買わない?」。何かと思ったら携帯用のトラベルセット(小さなハサミや爪切りなどが入っている)だった。「ゴメン、足りてるの」って言ったら、「あら、そう」と消えてしまった。

美しい海岸を歩いていたら、あまり美しくないイタリア人のオトコが声をかけてきた。「ひとりで歩きたいの」って言ったら、「ほな、さいなら」と去ってしまった。みんなあっさりしてるのね。

タクシーに乗ろうとしたら、(高台の)タオルミナまで所要時間10分、2万リラ(約1520円)だという。「10分で2万は高い」って言ったら、「上り坂だから」とタクシードライバーは答える。「じゃあ乗らない」って言ったら、彼は肩をすくめてから、新聞を読みはじめた。取り残されてしまったわたし…。ペルーだったら「じゃあ1万5千でいいよ」って言ってくれるんだけど…。そんなわけでバスに乗ったが、タオルミナのバス停からホテルまで遠いうえに、迷ってしまい、結局タクシーに乗ることになった。なんかとっても非生産的、オキシデンタルなモードに頭を切り替えないと…。

予約したホテルは4つ星(1泊約7600円、朝食つき)、見た目は地味だが、レセプションの脇ある、海を見渡すバルコニー付きの書斎風ロビー(古書が詰まっている本棚やライティング・ディスクがある)など、上品で味わい深い内装が印象的。

お月さん(懐かしい表現!)が来て、疲労困ぱい。シエスタする。

疲労してても腹は減る。ホテルの近くの3つ星レストランへ。海の幸リゾット、カプチーノ、アイスクリーム、水で2万3千リラ(チャージ含む。約1750円)。ウェイターは美形だが、何かというと鼻を鳴らす、こ憎たらしいタイプ。が、雰囲気よし、味よし、彼の顔も見てるだけなら美しく、大満足。

第二日目
朝9時に起床。こんな時間まで寝ていたのは、旅行を始めて以来のこと。海を見渡せる、気持ちのよい食堂で朝食。雰囲気もいいが、朝食もおいしい。クロワッサン、表皮が硬くて中身は水分が多いパン、フルーツジュース、コーヒー、ヨーグルト、各種ジャム、塗るチーズなど。

10時半ごろまで部屋にいたら、スペアキーでドアを開けて入ってきたメイドさんが、口では「失礼しました」と言いながら、「あら、まだいたのね」という顔をした。

散歩開始。タオルミナはたくさんの花が咲き乱れる、とても美しい町。工事車両を動かしていたオヤジは、わたしのほうに車両をガンガン寄せながら、ウィンクをした。美しい風景のなかで、愛とともに働くイタリア人?

シチリア島はギリシャ、古代ローマ、アラブ、フランス、スペインなどの支配下に置かれた複雑な歴史を持つせいか、エキゾチックな顔立ちの人が多い。

イタリア人の女のコたちは自然で、さりげなく、ホントにおしゃれ。ちょっとくらい体重オーバー気味でも、黒の革ジャン+ジーパン+黒いブーツでVESPAに乗ればOK! この着こなし、見習ってみよう。またヘルメットをかぶらずにバイクに乗るので、(安全性はともかく)やたらとカッコよく、色っぽい。

11時50分に旅行代理店に行き(今日は土曜日なので、ほとんどのお店は正午で閉まる)、「クシェットの予約はできるか?」と尋ねると、キレイな女のコは答える。「できるけど、月曜日」。「じゃあ、ローマのホテルの予約は?」「それも月曜日。もう遅すぎるわ」。「閉店まで、あと10分あるじゃん」と考えるのは、日本人? ところで、イタリア人の女のコはハスキーな声の持ち主が多いような気がする。

それなら駅でローマ行きのクシェットの予約をしようと、山の下の「タオルミナ・ジャルディーニ駅」へ下りたが、切符売場もシエスタ中。営業時間は9時〜12時30分、16時30分〜18時30分。もっと働け! でも今日は土曜日なのに午後の部もオープンするというので、ラッキーと考えましょう。

イソラ・ベッラ(美しい島)という名前を持つ、とても美しい島へ行く。今日も天気がよく、泳いでいる人もいる。美しい海岸を歩いていたら、漁師風のオヤジに声をかけられた。わたしのことを美しいと誉めてるのかと思ったが、よく聞いてみると、舟が動かないのでいっしょに押してくれと言っているようだ。わたしが力を貸すと舟(釣り舟程度の大きさ)はスルスルと動きだし、所定の位置に納まった。大感謝されるの巻。

再び「タオルミナ・ジャルディーニ駅」へ。ローマ行きのクシェットを予約し、山の上行きのバスを待つ。が、来ない。

夕闇が迫り、隣りではヘンなオバサンがひとりでブツブツ言ったり、同じようにバスを待っている人たちに話しかけたりしている。でも話しかけられた人たちは、ちゃんと彼女のお喋りに付き合っているから、さすがお喋り好きなイタリア人!? 彼女はバスに乗りこむと一番前の座席に座っていた車掌さんをどかして座りこみ、運転手さん、どかされた車掌さんや他の乗客も交えて、お喋り大会の主催者となった。ヘンなヤツなのか、ただのお喋り好きなのか…、わからん。

このバスには合計4回乗ったが、最初の2回は2000リラ、後の2回は1500リラ、いったいどっちがホントの値段?

マグロのオリーブオイル焼き+とろけそうなプリン+水+エスプレッソの夕食。これまたおいしい。お魚を失敬しようとしたネコを、足をバタバタさせながら追い払うウェイター(オヤジ)の姿は、サザエさんのようだった。目的を達成した彼は「カッカッカッ」と笑いながら戻ってきた。でもネコはめげてないと思う。

イタリアのテレビはアメリカの吹き替えドラマや、バラエティが多くておもしろくない。ラジオはヨーロッパ・テクノ、イタリアの国産音楽(洗練されてる系からメロディアスなものまで)、英語のブラック系、J-WAVE系…とバラエティ豊かで楽しめた。それにしてもさすが「ユーロビート」の生産地として名を馳せたイタリア、「ファック・ミー・プリーズ」(!!!)とリフレインするテクノがかかっていた

第三日目
すっかり朝に弱くなり、9時半に起床。だんだんと帰国モードに入ってきているようだ。例の気持ちいい朝食のあと、熱いシャワー、パッキング、チェックアウト。今夜10時半の夜行列車まで、また散歩。

広場でじいさんに声をかけられ(イタリア人ってホントによく声をかけてくるの)、「クルマでカスティーロ(お城)に連れていってあげるよ」と誘われたが、うまく断り、「テアトロ・グレコ(ギリシャ劇場)」へ。ここは野外劇場、そんなに期待していなかったが、遺跡+海+活火山エトナなどの山々+山肌を埋める白い町並みが調和した風景が非常に美しく感動。最初は曇り空だったが、途中から雲が切れ、宗教画のような光が射し込んでくる。ネコと遊んだりしながら、1時間ほど過ごした。この劇場は紀元前3世紀に建立されたが、現在も現役で、夏にはコンサートなどが開催されているという。

広場に戻るとさっきのじいさんがいて(待っていた?)、また「お城へ行こう」と誘うので、OKしたが、お城を過ぎてもクルマは走り続ける。「もっと先に行くと、もっとキレイな景色が見える」と繰り返すが、ジジイといえどもオトコとふたりでクルマのなか、少し不安になる。お腹が空いた旨伝えると、「じゃあ、最高のレストランに連れていってあげよう」と、彼はクルマをUターンさせた。

確かに彼は最高のレストランに連れていってくれた。しかしながら、テーブルに並んだのは、赤ワインとツマミのオリーブだけ。もうランチタイムは終わってしまったらしい。「このレストランは友人が経営しているから、たとえ準備中であっても、ワインを飲むことができるのだ」とジジイは自慢げに言う。従業員たちが奥で賄い食を食っているのをじっと見ている侘しさ…。

じいさんはワインを飲みながら、よく喋る。これが健康の秘訣なのだろう。「日本人は2万リラもする『ウニ・スパゲティ』ばかり食べている」「パレルモ(シチリア最大の都市、州都でもある)は600年、タオルミナは300年もアラブ支配下にあったのだが、タオルミナの軍隊は強力で、征服するのに2年の歳月を必要としたのである」なんてことを喋りながら、ガバガバと、おいしそうにワインを飲む。

「イタリア人は親切だ」とじいさんを持ち上げてみたら、「親切なイタリア人もいれば、そうでないイタリア人もいる。それはどこの国に行っても同じだ」なんて、ワインをガバガバ飲んでいるわりには、冷静な反応が返ってきた。

レストランを出て、お城へ向かう。が、じいさんは「ワシはもう千回もお城に登ったから、今日は遠慮しておこう。ぜひ、あなたの住所を教えてほしい」などと言いながら、クルマをお城の入口に停め、住所を教えてあげると、あっさり去っていった。

(追記:この日から、半年以上もたって、じいさんからいきなりハガキが届いた。「あなたの近況をぜひ教えてほしい」なんて書いてあったりして、かわいい)

高台にあるお城から美しい風景を楽しんでいたら、身分証明書をつけた「モギリ」のオヤジが近づいてきて、ガイド役になってくれた。が、いきなり抱きついてきたので逃げる。

お城から町の中心まで歩いて下り、念願のランチを食べる。もう17時、ディナーというべきか。スパゲティの味はまあまあだったが、ノリのいいガテン系イタリアーノの従業員がテンコ盛り、気分が高揚する。

せっせと歩いてお腹を空かせる。さっきのスパゲティは(食べた時間は夕方であっても)、あくまでも「ランチ」なのだ。イタリア滞在も残りわずか、一食でも多くパスタを食べたいと気持ち(欲望)は焦る。

夕食のリングイネ、とってもおいしかったけど、さすがに食べきれなかった。「おいしいんだけど、量が多いから」と言い訳しながら、支払いを済ませるなんて、めったにないこと。

ついにタオルミナともお別れ。ホテルに戻り、荷物をピックアップ、タクシーで山の下の「タオルミナ・ジャルディーニ駅」へ向かう。そういえば到着した日、タクシー・ドライバーに「所要時間10分で2万リラは高い!」と言ったら、「上り坂だから」と切り返されたが、下り坂でも値段は同じでした。

(本文中は1リラ0.076円で換算)

次は『ローマの休日』

イタリアの写真  ひとりごとを言っていたネコのエピソード

旅行した時期は
1996年10月〜11月です。



旅行して、どんな人たちと会った? どんな体験をした? 何を感じた?
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