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07/07/2003


上海ホテルリスト 2003


泊まりたいホテルがたくさんあったので、毎日、違うホテルに泊まってみることにしました。時期が時期だったので(12/27/2002〜1/2/2003)、だいじょうぶかなって思ったりもしたけど、あっさり見つかりました。すべて現地に入ってからの予約です。インターネットや、日本の旅行会社経由だと、もっと安くなるホテルもあるみたい。宿無しになるリスクはちょっとあるけど、実際に見てから泊まるホテルを決めるの、好きです。

YMCA 上海大廈 七重天賓館 東亜飯店 金門大酒店 衡山馬勒別墅飯店


<1泊め〜YMCA
★★★ 空港のホテル・インフォで予約して、359元(約5200円)
ツインルーム 朝食なし
上海YMCA
魯迅やゾルゲも宿泊したという、1929年に建てられたクラシック・ホテル。YMCAというとバックパッカーの溜まり場、ドミトリーっていうイメージがあるけど、このYMCAには、ちゃーんと個室があります。っていうか、ドミトリーもあるらしいけど、個室中心なんじゃないかしら。

オリエンタルとオキシデンタルが融合した、見事な租界的建築。建物は古いけど、改装されているので、お部屋はきれい。熱いお湯はもちろんのこと、ケーブルテレビ、冷蔵庫、バスタブ完備、シャンプーや紙スリッパなどのアメニティもバッチリ。

渋いのは、階段。木造校舎を思い出す?木の手すり、ミシミシ音がするような床、暖房が効いてなくて寒くて、なぜか夏目漱石を連想したりして・・・。部屋の天井は、平らじゃなくて、微妙な凹凸で、縁取りがしてあるのね。そういうところが、いい。

近所は下町の食堂がいっぱいあって、おいしい「小肉まん」も、4個1元で売ってたりする、ささやかなオマケの喜びもあって、コスト・パフォーマンスでは、今回一番でした。

(写真:ホテルのパンフレットより)

<2泊め〜上海大廈 Shanghai Mansions
★★★★ ホテルのフロントで直接予約して、929元(約13500円)
ツインルーム 朝食つき
上海大廈
今回の旅行で絶対!泊まろうと決めていたホテルがここ。東洋のマタ・ハリ、男装の麗人と謳われた川島芳子の定宿。川島芳子については、またの機会に書くとして、この上海大廈は、かつてはブロードウェイ・マンションと呼ばれた歴史あるホテル。英国人建築家のフレッシャーにより1930年に着工、1934年に完成したアール・デコ様式の建物です。当時は、外国人銀行家や、野心に満ち溢れた青年実業家など、時代の先端をいく人々の社交場だったとか・・・。

そんな場所に、防寒だけに重きを置いた、「バックパッカーその後」みたいな格好で、「お部屋、ありますか?」と尋ねるのは、けっこう勇気がいたけど、ここまで来たら、踏み込むしかないでしょう。ホテルの外見は比較的地味だけど、レセプションは、当時の上海を彷彿とさせるような抑えた絢爛豪華な雰囲気が漂っていた。カッコいい・・・。

どうせ泊まるんだから、スタンダード・ルームで一番いい部屋を選んだ。料金は、川(黄浦江)が見える低層階、川が見える高層階、川が見えない低層階、川が見えない高層階・・・。細かくカテゴライズされていた。

窓からは外灘(バンド)の景色が一望。汽笛が聞こえたときは、身震いしちゃった。内部はきれいに改装されているので、とても居心地がいいんだけど、窓はハメ殺しじゃなくて、ちゃーんと開く。11階だったので、窓を開けて、下を見ると、足がすくんだりするけど、その感覚がまたいいんだよね。特に、バスルームで、歯磨きしたり、ドライヤーかけたりしながら見る、ライト・アップされたバンドの夜景はサイコーでした。

で、バスルームには、ヨーロッパの古い建物によくあるパイプ型の暖房器具がついている。スペインだと、カリファクシオンって呼んでいたんだけど、剥き出しのパイプそのものが熱くなっているので、洗濯物を乗せると、すぐ乾く。貧乏性なのか、これを見ると、条件反射的に洗濯したくなっちゃうのね。そんなわけで、今回もバンドの夜景を見ながら、洗濯しました。翌朝には、下着もソックスも見事に乾いてた。

「ここのジャズ・バーは、上海ジャズ発祥の地!」と書いてあるパンフレットを見つけたので、行ってみた。ちょうど土曜日の夜だったし。「ジャズの演奏は???」と聞くと、英語がわかる若い男のコが出てきて、ちょっと怪訝そうに"JUST MUSIC"と簡潔に答えた。店内を見まわすと、お金持ちのご子息っぽい若者のグループがちらほら。このとき、ちらっと思ったんだよね。上海でジャズを求めるのは、日本人観光客の特質かもしれないって。ちなみに、店内に流れていた曲は、"WE ARE THE WORLD"でした。

このホテルの裏手、そして、道を挟んで向かいにある浦江飯店、ロシア領事館の交差点あたりには、ヘンなハナシかもしれないけど、精霊がいる。あのころの上海、この場所で、何かが起こったんじゃないかって、気がしたんだよね。

(写真:Hengshan Groupのパンフレットより)

関連リンク 到着〜外灘(バンド) 虹口〜旧日本人居住区

<3泊め〜七重天賓館
Seventh Heaven Hotel
★★ ホテルのフロントで直接予約して、300元(約4350円)
ツインルーム 朝食なし
Seventh Heaven Hotel
南京東路沿い、人民公園駅からも程近いバツグンの立地条件。1階はジョルダーノなので、迷うこともない。★は2つだけど、充分に快適。

お部屋はもちろん清潔、熱いお湯は延々出る、歯ブラシ、シャンプーなどのグッズも揃っているし、ケーブルありのテレビ、冷蔵庫、そして鍵はトリプル・ロック(バスタブはなし)。近くにはローソンもあるから便利、高層ビルも見える。

難を言えば、ホテル以外のテナントとの共同エレベーターなので、フロントを通らずに、直接、部屋に行けちゃうことかな。でも、★★のホテルだと、こういうタイプはけっこうあるよね。

わたしが泊まった部屋は、ビルの裏側だったので、窓から外を見ると、看板裏のさびれた雰囲気と、高層ビルがいっしょに見えて、香港っぽくていい感じ。『ブレード・ランナー』的でもあったりして。

(写真:ホテルのパンフレットより。ちなみに右側の建物がこのホテル。揺れながら写っているテレビ塔は、イメージ画像!?)

<4泊め〜東亜飯店 East Asia Hotel
★★ ホテルのフロントで直接予約して、280元(約4060円)
シングルルーム 朝食なし

東亜飯店南京東路沿い、前日に泊まった七重天賓館のほぼ向かいにあるエコノミーなホテル。規模はとっても大きくて、わたしが泊まった5階だけでも、44部屋くらいありました。エレベーターを降りてから、部屋までけっこう遠い。壁に貼られたレート表は、今回支払った金額よりもずーっと高かったので、昔はいいホテルだったのかも。

お部屋は七重天賓館よりも大きく、ゆったりしている。多少、くたびれてはいるけど、バスタブもついていて、アメニティも一通り揃っていました。

窓からは南京東路や、租界チックでヨーロッパ的な建物が見える。(コンセントが抜けていたのか?)テレビがつかなかったこともあって、ここはどこ?ってモードに入った。むかーし、パリで泊まった、テレビのない安ホテルにいるような気分。一夜のパリを味わえちゃって?お得でした。っていうか、こういう経済的なホテルに泊まって、パリに飛ぶって発想自体、(かなり)まずしいような気がしないでもないけどね。

<5泊め〜金門大酒店 Pacific Hotel
★★★ ホテルのフロントで直接予約、値切って495元+10%(約7900円)
ツインルーム 朝食なし
真ん中が、金門大酒店これで三つ星???っていうくらいゴージャスで、手入れの行き届いたクラシック・ホテル。ロビー、廊下などの内装がとにかくきれいで、特に、エレベーターを降りたあたりの雰囲気がいいんだよね。木の彫刻も、ドアも、天井も、ランプも・・・。外観も超コロニアルだし、地下鉄の駅(人民広場)からもとても近くて、ロケーションもばっちり! 日当たりのよくないお部屋をあてがわれたのは、値切ったせいか・・・。ま、昼間は部屋にいないからいいよね。アメニティ類は、コップ、歯ブラシから石鹸に至るまで、これまたゴージャス。

最初に提示された1泊の料金は、550元+10%(約8770円)、朝食つきでした。でも、ホテルのブッフェじゃ風情もないし、今回の旅行最後の朝食だったので、外に食べに行くことにしました。で、その日の朝は、町の食堂で、揚州炒飯+菜包(炒めた野菜が入った饅頭)をいただきました。ちなみに、しめて6元(約90円)。

<6泊め〜衡山馬勒別墅飯店 Heng Shan Moller Villa
上海大廈のフロントで予約して、660元(約9570円)朝食つき
Heng Shan Moller Villa出発前はけっこうバタバタしていたので、よさそなホテルをチェックしてる余裕はあんまりなかった。でも、ビザだけは取らないと中国に入れないので、ネットでビザを代行で取ってくれる旅行代理店を探してたとき、たまたま、見つけたのがこのホテル。でも、旅行代理店に予約を頼んだら、扱っていないと言われ、日本での予約はあきらめました。

2回めの「たまたま」は、上海大廈に泊まったとき、お部屋に備えつけてあったパンフレットをパラパラ見てたら、Heng Shan Groupの文字が・・・。あのホテルと同じグループだ!!! さっそく、フロントで尋ねてみた。担当の女性は、「わたしも泊まったことがあるけど、すっごく雰囲気のいいホテルなのよ」と興奮気味に言いながら、空いている日にちをチェックしてくれた。

で、3回めの「たまたま」は、1日だけ、ぽっかりと旧館が空いている日があったこと。でも、このときは、「旧館が1日だけ空いていた」という偶然のありがたさが、あんまり身にしみてなかったんだけど。

「ホントに泊まりますよね」。
「ぜったい、泊まりますよね」。
上海大廈のフロントの女のコは、じーっとわたしの目を見つめながら、何度も念を押した。
「衡山馬勒別墅飯店は、とても混んでいるので、泊まってくれないと、ホントに困るんです」。
ホンキを示すために、わたしが真剣な表情で、彼女の目をじーっと見つめて、"I'm sure"を3回繰り返すと、彼女は満足気な微笑を浮かべ?予約の手続きをしてくれた。

この長い前フリは、実は、このホテルをウェブに載せたくないっていう迷いの表われかもしれない。だって、ホントにすっごく好みなホテルなんだもん。今まで、いろーんなホテルに泊まったけど、文句なしのナンバー・ワンです。しかも、超リーズナブル! 

競馬で大儲けしたモーラーさんが1930年代に建てた、ノルウェー式の建物。第2次世界大戦が激しくなり、モーラーさんが本国イギリスに帰ってからは、長いこと、中国政府の所有物となっていた。そのころは、政府の要人などしか、足を踏み入れられなかったとか・・・。一般人に門戸が開かれた?のは、ごく最近、2002年の5月。
Heng Shan Groupがホテルとしてオープンしてからなんだって。

旧館の内装は、クラクラ、眩暈がしそうなほどレトロでクラシック。イギリス、フランス、イタリア、スペインなど、各国の様式を取り入れているそう。階段、壁、天井、すりガラスの1枚1枚まで、見事に調和してるのね。歴史に名を残した人も泊まったんだろうな、どんな会話が交されていたんだろう・・・とか、反射的に想いを馳せちゃったりして。


むかし、松任谷由実の『時のないホテル』っていうアルバムがあったんだけど、まさにそんなイメージ。時の流れを超越したような、すばらしいホテル!!!

旧館は、たった16室・・・(新館は29室)。フロントには日本語が喋れる女のコがいて、対応もフレンドリー。泊まったとき、聞いたハナシでは、メールでの予約は受け付けていなくて、ファックスあるいは電話での予約はOK!とのことでした。



宿無しになるリスク 現地でホテルを予約するポイントは、昼間のうちにその晩に泊まるホテルを確保すること。暗くなると、なんとなく不安になって、適正じゃない値段を提示されても逆らえなかったり、焦ってしょーもないホテルを選んじゃったり、しがちになります。だから、現地入りが夜になるときは、事前にホテルを予約しておいたほうがいいでしょう。


2003年1月現在、1元は、約14.5円です。

 


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