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9/11/2000 |
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ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ ライブ・レポート 至宝が結集、至福の一夜! |
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年齢も年齢だし、やっぱり健康状態は心配だった。いくらキューバ人には底知れぬパワーがあるっていったって、2週間にわたり日本全国を行脚して、毎日のようにライブを行い、しかもその日は最終公演・・・。ところがどっこい、彼らに果てはなかった。 ライブが始まって1時間近くたったころ、オマーラ・ポルトゥオンドが登場すると、地を這うようなざわめきが起こった。これがすべての始まり。「世界でいちばんセクシーなキューバの歌姫」は、ラメがキラキラ光る白いヒラヒラな衣装を着て、何度も足を高く上げ、蝶のように舞いながら、歌う。ものすごい声量と迫力、そして存在感。どんなに「ものすごい」か、形容する言葉はどこにあるんだろう。とにかく声が前に前に出て、観客の体が押されちゃうのだ。マイクなんていらないんじゃないかと思うくらい、ホールに声が響きわたる。もちろん、しっとりさと力強さを、微妙な、経験を積んだバランスで組み合わせ、舵取りしながら・・・。 次に登場したイブライム・フェレールは、いなせな男。映画では、コンパイ・セグンドの「いぶし銀な色気」にやられちゃって、実はイブライムまで気がまわらなかった。でも間近で見る、ハンチング帽をかぶった彼のまわりには「陽気な色気」が弾け飛んでる。特に、バラードの名曲"Como Fue"は、絶品。心臓をキュッとつかまれたみたい・・・。 このころはすでに座席を離れ、ステージのまん前、ほんの数メートルの距離で、踊りながら彼らの演奏を聴いていた。警備が厳しくなかったのは、出演者たちの配慮!? 至宝の目前でダンスホールできるなんて、思ってもみなかった。これ以上の贅沢がある??? ライブのイメージは、革命前のハバナのダンスホール。マンボなリズムに乗って、繰り広げられる華麗なラテン・ミュージック・ショー。と同時に、歌謡ショー的、ムード歌謡の香りも漂よい、石原裕次郎の映画みたいな雰囲気もある。で、もう一言加えると「吉本」っぽかったりもする。つまり、エンタテイメントの基本がギッチリ詰まってるの。特にオマーラは、映画では毅然とした印象が強かったけど、ステージでの一挙一動、髪型から衣装まで、まさに吉本的娯楽の世界。ああいうおばちゃん芸人がいたような・・・。 わたしたちを包みこんでくれたのは、果てのないサービス精神。ルベーンはかなりの高齢で、足元がおぼつかなかったりもした。「どっこいしょ」とピアノの前に座るけど、振り向きざまの投げキスを忘れない。キスがひとつ終わると、また次のキス・・・。「もうそのくらいにしたら」。スタッフがそんな顔をしていても、観客に手を差し伸べ続ける。握手をやめない。 そしてアンコールは、圧巻の一言! 終わったかと思うと、自然発生的にまた演奏が始まる。アドリブで歌い続けるイブライム。本能でわかちあう声と楽器のコラボレーション・・・。このまま朝になりそうな?、パワー全開の演奏は延々と続き、3時間近い公演に幕が下りるときがきた。 このステージにセリア・クルースや、グロリア・エステファンがいっしょに立ったら、どんなにすばらしいだろう。革命後、キューバに残ったオマーラたちと、アメリカに亡命した反カストロ派のセリアとグロリア。カーネギーホールにキューバ国旗が翻ったように、彼女たちが同じステージに立つ日も、もうすぐ来るのかもしれない。音楽には果てのない力があるんだから。 というわけで、今まで見たライブのなかで、ランキング・ナンバー1に決定! しかも、3人と握手までしちゃった。ああ、忘れじの一夜・・・。 9月3日(日)at 東京国際フォーラム ホールA |
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関連リンク 映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』 コンパイ・セグンド93歳 キューバ男の色気ここにあり! オマーラ・ポルトゥオンド 歌は愛。 キューバ旅行記を読んでみる |
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