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ミラノ着、ヨーロッパに来た実感がヒシヒシ


ミラノのマルペッサ空港で、日本人の女のコ(美紀ちゃん)と知り合った。彼女といっしょにリムジンバスに乗って、ミラノ中央駅に向かう。

彼女は同じ飛行機で、わたしの前の座席に座っていたのだという。おいしい機内食〜やわらかいテリヤキビーフ+にんじん(Baby Carrotとメニューに書いてあった。これがホコホコで、うっとりするほどおいしい)+ごはん。これは今回の旅行のベスト機内食!〜を夢中で平らげ、すぐ寝てしまったので、気がつかなかった。そういえば黒髪が垣間見えたような…。彼女によると、コーヒーなどをオーダーするわたしの声が大きかったので、印象に残っているのだそうだ。

天気は小雨、気温は摂氏8度、窓の外には北ヨーロッパらしい、落ち着いた田園風景が広がっている。ミラノはイタリア北部、スイスとの国境近くに位置しているので、イタリアというよりはヨーロッパに到着したという感じがする。なんだか妙に落ち着くのはなぜかしら…。

リムジンバスがミラノ中央駅についてから、彼女といっしょにしたこと。

駅の「荷物一時預かり」にバックパックを預け、カフェで本場のエスプレッソを飲む(おいしかった)。

地下鉄に乗ってドゥオモ(大聖堂)へ。あの有名なドゥオモ前の広場は工事中。旅行に出発するまえ、家の近所でずっと工事をしていたためか(「工事の神様」を連れてきてしまったのか?)、今回の旅行ではやけに工事にでくわす。内部をゆっくりと見てまわり、ろうそくに灯を点したりしているうちに、安らかな気持ちになる。

エレベータでドゥオモの上に昇る。歴史ある重厚な建物だけでなく、ペントハウスが乗っかっているような、いまどきのビルもたくさんあった。

エマヌエーレU世アーケード(高級ブティック、レストランなどが軒を連ねている)の旅行代理店でマドリード行きの片道チケットについて訪ねてみる。カウンターでは男性ふたりがカラダをくっつけるように座り、お喋り中。

「往復を購入して、片道分は捨てればいいのよ。片道よりも往復のほうが安いの。値段は55万リラ(約4万1800円)よ」とイタリア語なまりの色っぽい英語で、ニベもなく言う。インターネットで調べたときには、Euro Belgian Airlinesという航空会社は片道が設定されていてUS$162だったけど、「その航空会社は扱ってないわ」というので、パス。もうオトコ同士でイチャイチャしちゃって!

お散歩しながら別の旅行代理店を探す。大学(高校?)の内部に入りこんだり、路地を歩いたり…。そのうち航空会社が集まる一画に出て、第二の旅行代理店を発見。Euro Belgian Airlinesも扱っているというので、チケットを購入し、ついでに今夜のホテルも予約。わたしの名前EMICOはイタリア語では男性の名前だそうだ。

ビジネスマンが多い、カフェテリア形式のイタリア料理店でお昼ごはん。トレーを持って並んで、好きなものを取って、レジで精算するシステム。ラザニア、卵乗せのハンバーグ、パン、水で1000円程度。おいしくて幸せ。しかもウェイトレスの女のコが魅力的。

一言終わるたびにウィンクをするんだけど、レズっぽいわけではなく、チャーミングで自然な感じ。お皿を下げたりする動作とウィンクのしぐさが違和感なく連続しているのがスゴい。ミラノの人々は洗練されていて、おしゃれ、センスがよい。オトコたちだけじゃなく、女のコたちもホントに魅力的。

お散歩第二部。また別の大学に入りこんだり、公園でじゃれる犬たちを見たりしてくつろぐ。だんだん天気がよくなり、雨に濡れた公園の芝生を陽射しが照らした。

1泊ふたりで20万7000リラ(約15700円)のホテルは現代的。イタリアやスペインの大都市によくある、古い建物の2〜3フロアを使った昔風のホテルかと思っていたんだけど…。

テレビはもちろん、冷蔵庫、ドライヤー、シャワーキャップ、入浴剤まで備え付けれていて、建物はとても新しい(フロントの男性は30年の歴史があるホテルだと言っていたが)。思いっきり横になれる清潔なバスタブがうれしい。ビジネスホテルみたいで(実際に日本人ビジネスマンも宿泊していた)、日本に戻ったような気になった。部屋の面積は日本のビジネスホテルよりずっと広いけどね。

夕食は偶然見つけた、近所のイタリア料理店で。やや高級な雰囲気だが、値段はお手ごろ。クリスピーなピザ、スパゲティ、ハウスワインのハーフボトル、エスプレッソ、プリンまで食べて、すべておいしくて、ひとり2000円程度。ウェイトレスの女のコは親切で、ピザやスパゲティはちゃんと半分ずつに分けてくれる。「おいしかった!」と伝えたら、彼女はちょっと照れたように微笑んだ。

今日一日をいっしょに過ごした美紀ちゃんは大阪在住、大学を卒業して2年ほど働いたが、仕事を辞めて1か月の予定でアメリカとヨーロッパを旅行しているのだという。関西人らしい自然なボケがいい味を出している。ちょっと脇が甘かったりもするが、主体性、感受性ともに良好な、いい感じの女のコだ。わたしがお風呂から上がると、物陰に隠れていて「わっ!」と驚かしたりするのもかわいい。「絵ごころ」がないわたしとしては、絵日記をつけている彼女の後ろ姿がすごくうらやましかったりして…。

翌朝、彼女はフィレンツェへ、わたしはシシリア島へと、それぞれ別のコースを辿った。

彼女はあれからどうしたのだろう? 帰国してから、彼女が好きだと言っていたイタリアの音楽を入れたカセットを送ったが、返事は来なかった。

彼女の身に何かあったのかしら…などと考えたりする。彼女は性能のいいノートパソコンを持ち歩いていたけど、ホテルの部屋に置きっぱなしにして盗まれてしまったのではないか? あのあと何か嫌なことでも起こって、もうあの旅行は思い出したくもなくなってしまったとか?

あるとき、チェックアウトのときの記憶がふと蘇った。

「あれ、入れておいたお金がない…」

ミラノのホテルに1泊した翌朝のことだ。彼女はポケットをゴソゴソやっていた。

「どっかに入っているんじゃない?」

列車の出発時間が迫っていたので、わたしはちょっと急いでいた。あまり深く考えずにそう答えたが、もしかして彼女は、わたしに対して疑いを持ってしまったのではないだろうか?

ときどき彼女のことを思い出し、どうしているのかなあと思う。

(本文中は1リラ0.076円で換算)

次は夜行列車に泥棒が侵入・・・

関連リンク 航空会社★取り表  Euro Belgian Airlines

旅行した時期は1996年10月〜11月です。



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